第七話 勝利の後に

「北大帝陸軍報道部発表、北大帝陸軍はファーザ島に上陸、これを占領せり」

 勇ましい軍歌と共に、陸軍の発表がラジオから流れた。


「初戦勝利おめでとう」

 参謀総長室には、参謀総長の村上元帥とファーザを陥とした服部中将がいた。机の上には、ウイスキーが置かれている。


 ウイスキーをグラスに注ぐ村上は、それに次いでこう言った。


「しかし、君なら次はどこを攻める?」

 地図の前まで歩き、太平洋を見つめた。服部も椅子から立ち上がり、彼の横に立った。


「カルカル諸島、カロニア島、ここ辺りに上陸攻勢をかけ、敵の航空戦力を撃滅しますかね。」

「そのためには海軍に動いてもらう必要があるな…」

 上陸するまでに、その制海権を奪取する必要があった。制海権を奪取するには、彼が言ったとおりに海軍が動かなければどうにもならない。


「まぁいい、海軍も話が分かる奴が多いからな。俺が話をつけておこう。」

「お願いします。」

 村上がニヤリと笑った。


 大統領官邸――


「で、初戦に勝った訳だが。これからどうするのかね?」

 桜山大統領が、傍らで座っていた陸軍総司令官・武田元帥と村上参謀総長に訊いてみた。


「今後は完全に物量作戦でしょう。我々は一斉に押し進み、本土上陸を狙います。」

「本土上陸まで行くか!」

 葉巻を咥えていた桜山は、驚きのあまり声を張り上げた。再度葉巻を口に咥える。


「我が軍は、物量と兵数によってバレティンを目指します。」

 陸軍のツートップの目の前には、海軍のトップである竹中元帥が居た。彼も、そこまで行くのか、と思った。


「しかし、それまでの前哨戦を戦い抜かなければなりません。海軍さんのご協力をお願いしたい。

「それはもちろん。こちらも連合艦隊で敵艦隊を殲滅して見せますよ。」

「それは頼もしい。」


「また、それまでの外交的努力は惜しまないで頂きたい。兵の犠牲は最小限まで抑えたいのです。」

 桜山大統領は、それに対して大きく頷く。彼としても同じことを思っていた。


 すると、突然海軍将校が入っていて、竹中元帥に何かを耳打ちした。竹中は、すぐに顔色を変えて、その部屋を飛び出していった。


 何事だと思いつつも、陸軍の二人は大統領に戦局の解説を始めた。実はこのとき、海軍参謀本部は大騒ぎになっていた。

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