第15話 離婚の計画
お姉ちゃんに今は同情できないが。
正直彼女が狂った原因が何となく分かった気はした。
私は家の中に入ってからスマホを弄っていると...通知が来た。
それは先輩からだった。
(今までの人生の小説を公表してみようと思う。...ただ名前とかは変えたけど)
(...先輩...)
(多くの人に...見てもらいたい気がしたから)
(とは言っても遅筆に間違いはないから少しずつだが)と書いてくる先輩。
私は(応援します)とメッセージを送る。
先輩は(あの事件もあったしな。...公表するきっかけになった気がする)と文章を送ってくる。
(成程ですね)
(まあ地名とか名前とか設定とかはバレない様に多少は変えるけど。...そのままだ。ほぼ全て)
(...先輩が好きな事をしたら良いと思います)
(アイツのやった事は...到底許せないけど。だけどこうして文章を書くきっかけになったのは...良かったと思う)
(...ですね)
そして私はスマホを持ち上げて見る。
寝転がってから上にする様に。
それから文章を打つ。
(...お姉ちゃんですけど)
(ああ)
(お姉ちゃんは...何故あそこに居たのか結局分かりませんでした)
(分からんだろうな。アイツが話すとは思えないし)
(あの人の動きと心理は全く分かりませんね)
そう書きながら私は上を見るのを止めてから目の前にスマホを立てかける。
すると(...アイツは俺をATMと言ったが。それが事実かも分からない)と先輩はメッセージを寄越した。
私はその言葉に(ですね)とメッセージを書く。
そして送信する。
(...どうしたら良いんだろうか)
(とにかく先輩は先輩を優先して下さい。先輩が狂ったら何もかもが終わりですので)
(...そうだな)
そして私は眉を顰めながら文章を読む。
するとドアがノックされた。
私は「?」を浮かべながら「お母さん?」と呟きながらドアを開ける。
そこに母親が立っていた。
私を見ながら複雑な顔をする。
「...入っても良いかしら」
「うん」
私はドアを開けたままにする。
するとお母さんはゆっくりと入って来た。
それから私を見てくる。
その姿に私は「?」を浮かべた。
「...元気?」
「...うん。元気だよ。一応には」
「そう。良かった」
「...この部屋に来たって事は何かあるんだよね?」
「そうね」
「とても重要な事だけど」と切り出すお母さん。
そして私を見てくる。
私はその顔に「...何?」と不安げに聞いてみる。
するとお母さんは「離婚しようと思う」と切り出してきた。
私はかつてない程の衝撃を受けた。
「...一応聞いても良い?何でこのタイミングで離婚するの」
「...これ以上は貴方に過負荷をかけれないわ。貴方はずっとずっと悩んでいる。この家族関係について。それに...」
「...確かにそうだけど...」
「...一旦、リセットしようと思うの関係性について。...話し合いで決まったの」
「...」
「...この先は何も分からないけど」と言うお母さん。
私はその言葉に考え込む。
それから「この事はお姉ちゃんも知っているの」と聞いてみる。
するとお母さんは「知っているわ。...さっき話したわ」と言ってくる。
「...この家に住み続ける事も考えているの?」
「それは無い...と思うわ。...とにかく一旦離れ離れになろうって話」
「...そうなんだね」
「そう。...だけど貴方が...もし望むならだけど家族のままで居る事も考えるわ。離婚はしない」
「パートナーとして生きていくの」
「...そう」
「全てが貴方の重荷になっているなら私はそれがたまらなく...嫌ね」とお母さんは言いながら目線を私から逸らした。
私はそんなお母さんの手を握った。
それからお母さんを見る。
「座って。お母さん」
「...ええ」
「私、正直お姉ちゃんと一緒は本気で重荷だよ」
「...そうよね」
「...だけど最近、私は彼女の...というか。お姉ちゃんの変化を見つけた」
「...変化?」
「そう。私が襲撃された事があったでしょ?その時にお姉ちゃんが助けてくれた」
「それは知らなかったわ」とお母さんは驚く。
それから「そうなのね」と苦笑する。
私は「うん」と返事をした。
そしてお母さんを見た。
「...今離婚はしたいと思う。離れ離れにもなれる。...だけど私はもう少しだけ彼女の微量な変化を見たい」
「良いのそれで本当に?...私達は今すぐにでも離婚した方が」
「確かにね。...だけど離婚してもきっと名前が変わるだけだし。その。重荷は多分消えない」
「...そうだけど...」
「...確かに苦痛だけど何だか...今、お母さん達が離婚するのは違うと思っている」
私は何を言っているんだか。
思いながら私は目を逸らしながら立ち上がる。
それから写真立てを見る。
写真には...家族の写真。
「...お父さんも生きていたらきっとこうしただろうしね」
「信じられないぐらいに成長したわね。貴方」
「...私は成長した訳じゃない。周りの人達がみんな良い人達だから...成長できたの」
「...」
考え込む母親を見る。
それから「もし何かあったら言うよ。その時は」と言葉を発した。
そしてお母さんを抱き締める。
「お母さんがそうしてくれた事。本当に感謝だよ」
「...」
「...お母さん。大好き」
そして私はお母さんを見る。
お母さんは泣きながら「貴方に何も出来ずごめんなさい」と言っていた。
私はその顔を見ながら涙を浮かべる。
それから決心する。
「...」
私は...私自身が変わろうと。
そしてお姉ちゃんも変えてやる。
そう思いながら。
進化というか。
そんな感じだが。
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