第4話 争いの火蓋が開く時


アイツが...凛子が帰ってから俺は部屋を見渡していた。

そして俺はゆっくり片付けをしたりしていた。

アイツは俺と一緒にどこかに行きたいと言った。

俺なんかと一緒に居て楽しいのか?


死んだ方が良いと思える感じの男だぞ?


「...」


俺はそう考えながら片付けをしているとアルバムがあった。

破り捨てられたアルバムだ。

そこには...凛音の記憶があった。

その事に俺は急速に身体が熱くなりその場で吐き気を催した。

そのままトイレに一気に駆け込む。


「...ははっ。俺も大概だな」


そんな事を呟きながら俺は胃酸を流す。

それから便器の中を見ていた。

死ぬにはどうしたら良いのだろうか。

苦しまずに死ぬには。

俺は生きている価値が無いと思うし。


「...」


そう思っていると電話が掛かってきた。

それは...凛子からだった。

俺は口元を拭ってから「はい」と答える。

すると凛子は『先輩。今良いですか』と言ってくる。

俺は「?」を浮かべながら「ああ」と答える。


『私、実は家を出ます』

「...家を出るってのは」

『先輩の横の右部屋って空き部屋ですよね?』

「そうだな。入居者が居ない。...だからどうした」

『...そこに引っ越します。やっぱりあの人と一緒が嫌です。だから唐突ですけど一人暮らしを始める事にしたんです』


俺は「!?」と思いながら「お前...しかし保証人とかそういうのは」と言う。

すると『良治さんとお母さんを説得しました。どうせ高校に通学が近くなりますし。だから...その。先輩も居ますし...』と話した。

俺は更に衝撃を受ける。


「...本当に唐突だな」

『私は貴方の傍で貴方が復活するのを支えます。それに他にも色々ありますけど』

「...何でそこまでしてくれるんだ」

『...私が後悔したくないからです。...二度と...』

「お前の父親が借金の保証人になって...500万円の借金苦で自殺した、死んだのは知っている。だけどそれは...それだろ」

『先輩は今死にたくないんですか』


そう言われて俺は戸惑った。

丁度俺は死にたかったからだ。

だから酷く困惑して数秒間何も話せなくなる。

そして沈黙していると『先輩』と声がした。


『こんな奴で申し訳無いですけど私は先輩が好きです』

「...え?好きってのは...つまり?」

『言葉通りです。貴方が...心から好きです』

「...!!!!?」


俺は更にショックを受けながら見開く。

それから「待て。お前...俺なんかを好きになって...っていうか好き!?」と絶句しながら話しをする。

すると凛子は数秒間沈黙してから顔を上げた様に反応した。


『先輩が私を支えてくれた。だから好きになった。それだけです』

「...俺は何もお前を助けてない」

『それは記憶違いです。私は先輩に救われました。だから先輩を今度は私が助けます』

「...嘘だろ」

『嘘で女の子が告白しますか?嘘コクと思います?...私は嘘が嫌いです』


そんな事を言いながら凛子は『私はどうあれ貴方を好きになった。貴方が一番好き。だから私は貴方を助けます。必ず』と宣言を放つ。

俺はその言葉に何も言えなくなり。

涙が止まらなくなった。


『先輩。私はみっともない所が好きです。先輩の』

「...」

『格好悪いのが好きです。大好きです』

「俺なんかを好きになっても何にも...恩返しができない。そして俺は情けない人間だから」

『それは違います。先輩からは恩返しを貰っています。...そして貴方は情けない人間じゃない。先輩自身が疲れているんですよ』


俺は号泣する。

そして「俺は死にたかったんだが」と言う。

すると凛子は『死なせません。私は...あの人とは違う。...あの人以上に貴方を幸せにします。だから死なないで下さい。死ぬときは一緒です』と話す。

その言葉を受けてからだが。

俺は何だか救われた気分になった。


『あの人がした事。...貴方を捨ててイジメを誘発したその事は...復讐に値します。私は...あの人を絶対に許さない。裁判にかけて刑務所にぶち込んでやりたいレベルです。...つまり先輩。本当の復讐は私達が幸せになる事です。そしてあの人を徐々に地獄に叩き落とす事。それから...燃え盛るこの感情を犯罪無しで全て絶望させる事です』

「...SNSで拡散とかか」

『それも良いですけど特定の人にしか観られません。それに私達には拡散の技術も無い。ならSNSで拡散よりかはもっと技術的じゃない何かで復讐しましょう。これは戦争です』


そう言いながら凛子は『...あの人は何であんな事をしたのか分かりませんが。私はもう二度とあの人と一緒に暮らしたくはない』とまた宣言してくる。

俺はのろのろと立ち上がる。

それからもう一度トイレを流した。


「...凛子」

『はい』

「お前の最初に言った意見を採用しよう。...復讐はどうでも良いが幸せになりたい」

『...そうですね』


それから凛子は『1週間後には引っ越します』と言ってくる。

俺は考える。

4月21日辺りだな。

そう考えながら俺はトイレを出た。

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