第4話 争いの火蓋が開く時
☆
アイツが...凛子が帰ってから俺は部屋を見渡していた。
そして俺はゆっくり片付けをしたりしていた。
アイツは俺と一緒にどこかに行きたいと言った。
俺なんかと一緒に居て楽しいのか?
死んだ方が良いと思える感じの男だぞ?
「...」
俺はそう考えながら片付けをしているとアルバムがあった。
破り捨てられたアルバムだ。
そこには...凛音の記憶があった。
その事に俺は急速に身体が熱くなりその場で吐き気を催した。
そのままトイレに一気に駆け込む。
「...ははっ。俺も大概だな」
そんな事を呟きながら俺は胃酸を流す。
それから便器の中を見ていた。
死ぬにはどうしたら良いのだろうか。
苦しまずに死ぬには。
俺は生きている価値が無いと思うし。
「...」
そう思っていると電話が掛かってきた。
それは...凛子からだった。
俺は口元を拭ってから「はい」と答える。
すると凛子は『先輩。今良いですか』と言ってくる。
俺は「?」を浮かべながら「ああ」と答える。
『私、実は家を出ます』
「...家を出るってのは」
『先輩の横の右部屋って空き部屋ですよね?』
「そうだな。入居者が居ない。...だからどうした」
『...そこに引っ越します。やっぱりあの人と一緒が嫌です。だから唐突ですけど一人暮らしを始める事にしたんです』
俺は「!?」と思いながら「お前...しかし保証人とかそういうのは」と言う。
すると『良治さんとお母さんを説得しました。どうせ高校に通学が近くなりますし。だから...その。先輩も居ますし...』と話した。
俺は更に衝撃を受ける。
「...本当に唐突だな」
『私は貴方の傍で貴方が復活するのを支えます。それに他にも色々ありますけど』
「...何でそこまでしてくれるんだ」
『...私が後悔したくないからです。...二度と...』
「お前の父親が借金の保証人になって...500万円の借金苦で自殺した、死んだのは知っている。だけどそれは...それだろ」
『先輩は今死にたくないんですか』
そう言われて俺は戸惑った。
丁度俺は死にたかったからだ。
だから酷く困惑して数秒間何も話せなくなる。
そして沈黙していると『先輩』と声がした。
『こんな奴で申し訳無いですけど私は先輩が好きです』
「...え?好きってのは...つまり?」
『言葉通りです。貴方が...心から好きです』
「...!!!!?」
俺は更にショックを受けながら見開く。
それから「待て。お前...俺なんかを好きになって...っていうか好き!?」と絶句しながら話しをする。
すると凛子は数秒間沈黙してから顔を上げた様に反応した。
『先輩が私を支えてくれた。だから好きになった。それだけです』
「...俺は何もお前を助けてない」
『それは記憶違いです。私は先輩に救われました。だから先輩を今度は私が助けます』
「...嘘だろ」
『嘘で女の子が告白しますか?嘘コクと思います?...私は嘘が嫌いです』
そんな事を言いながら凛子は『私はどうあれ貴方を好きになった。貴方が一番好き。だから私は貴方を助けます。必ず』と宣言を放つ。
俺はその言葉に何も言えなくなり。
涙が止まらなくなった。
『先輩。私はみっともない所が好きです。先輩の』
「...」
『格好悪いのが好きです。大好きです』
「俺なんかを好きになっても何にも...恩返しができない。そして俺は情けない人間だから」
『それは違います。先輩からは恩返しを貰っています。...そして貴方は情けない人間じゃない。先輩自身が疲れているんですよ』
俺は号泣する。
そして「俺は死にたかったんだが」と言う。
すると凛子は『死なせません。私は...あの人とは違う。...あの人以上に貴方を幸せにします。だから死なないで下さい。死ぬときは一緒です』と話す。
その言葉を受けてからだが。
俺は何だか救われた気分になった。
『あの人がした事。...貴方を捨ててイジメを誘発したその事は...復讐に値します。私は...あの人を絶対に許さない。裁判にかけて刑務所にぶち込んでやりたいレベルです。...つまり先輩。本当の復讐は私達が幸せになる事です。そしてあの人を徐々に地獄に叩き落とす事。それから...燃え盛るこの感情を犯罪無しで全て絶望させる事です』
「...SNSで拡散とかか」
『それも良いですけど特定の人にしか観られません。それに私達には拡散の技術も無い。ならSNSで拡散よりかはもっと技術的じゃない何かで復讐しましょう。これは戦争です』
そう言いながら凛子は『...あの人は何であんな事をしたのか分かりませんが。私はもう二度とあの人と一緒に暮らしたくはない』とまた宣言してくる。
俺はのろのろと立ち上がる。
それからもう一度トイレを流した。
「...凛子」
『はい』
「お前の最初に言った意見を採用しよう。...復讐はどうでも良いが幸せになりたい」
『...そうですね』
それから凛子は『1週間後には引っ越します』と言ってくる。
俺は考える。
4月21日辺りだな。
そう考えながら俺はトイレを出た。
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