結局タオルちゃんって何?



 先輩と一緒に件のペットホテルに行ってきた。

 正面から突撃しても絶対にしらばっくれられるだけなので、生肉を預けるという名目だ。


 嫌なことされたら、ペしゃんこに剥いでいいからな、と言っておいた。

 あと変なもん食うなよ、とも。


 受付で生肉を出したら、ちょっと変な顔をされた。

 こいつ見えてないな。


 タオルちゃんは見えんの?

 つまりタオルちゃんって何?


 もしくは見えるやつは他にいて、ただ受け取っているだけなのかもしれない。


 預けてから三時間後くらいに、連絡が来た。

 すぐに引き取りに来てくださいって話だ。ぎゃあぎゃあ喚いていたが多分そうだった。


 仕事だったので無視した。

 俺はあのハゲがいじって消したデータを紙の書類から引っ張って手打ちで戻してんだよクソが。

 何アイス食ってんだ死ね。

 今ってAIで全部読み取れるから早いんでしょ〜じゃねえんだよ死ね。ヅラ飛んでけ。


 終業後、生肉を迎えに行くついでにタオルちゃんを返してくださいっつって言いに行った。

 えらく渋っていたので胡麻も投げつけておいた。


 泣いてた。

 いい歳した大人が泣くな。

 客の預け品勝手に紛失しておいて。


 生肉は元気だった。

 元気な生肉と一緒にとあるお屋敷にお邪魔しにいって、無事にタオルちゃんを返してもらった。


 タオルってか

 どっちかっていうと雑巾 いや


 タオルちゃんって呼んどこ。


 先輩にはたくさんお礼を言われた。

 タオルちゃんを守ることが今の先輩にとっての生きがいなので、タオルちゃんがいないと困るんだそうだ。


 それって別にタオルちゃんじゃなくてもいい気がするが、まあ、仮に飼ってる犬が生きがいの人に「それ犬じゃなくてもいいんじゃないすか?」とか言ったら普通に失礼がすぎるので、言うのはやめておいた。


 先輩は、タオルちゃんのためにもっと稼げる仕事につくんだそうだ。

 なんだったら他県に就職したいらしい。


 なんたら教とかいう人たちが最近家の周りをうろついていて、怖いんだと。


 確かに。それは怖い。


 そいつら血の繋がりがないと認定しないのにね。



 マジでタオルちゃんって何?


 怖。


 実子じゃん。



 怖…………。


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