第40話 約束
「でも好きなんじゃないの?そのデザインの剣」
「いやー好きだよ?でも、流石に受け取れないってこれ」
彼女が俺に返すようにしている剣は、前回俺がネットでクソしょうもない炎上をした際に、実験台になってくれたことに対してのお礼として送ったものである。
・あー、これなんかデジャヴったと思ったらあれか。『棒人ゲー』の武器そっくりだわ
・↑天才。胸にあったもやもや感が取れたわ
・棒人ゲー?
・知らんのか?ラグ無しビジュ良しストレス無しの神ゲーやぞ
・ただし!登場人物は全員棒人間だがな!
スティック・ヒューマン・オンライン。ゲーマーからは『棒人ゲー』と称されるMMORPGなのだが、彼女はこのゲームを中々ガチっているのだ。
なんでも、両親がトップランカーらしくその影響で始めたらしい。俺はそこまでやってないから知らんが。
「本当にいいのか?」
「うん。なんかズルしてるみたいで、ちょっと申し訳ないし……」
早川から剣を受け取り、武器庫へと収納する。
「それに、一番上まで登れば、堂々とそれを受け取れるんだろう?」
「せやな」
「だから、約束するよ」
右手ん上げて、俺に小指を差し出す。
「必ず、このダンジョンを一番上まで登って、その剣を受け取りに来るよ」
「あぁ、待ってる」
実際、ここだけの話をすると、可能性が一番高いのは早川だ。それくらい、彼女がフェイルノートから受けとったスキルは強い。彼女は、この選定を生き残れるて俺は確信している。
「それじゃあ、またね御神楽くん────転移」
「行ってらっしゃい」
青いエフェクトが出て、彼女の姿が消える。これで、300人の先行挑戦者が香川のダンジョンに送り込まれた。
・はー、こいつはいっつもいっつも可愛い女の子とイチャイチャしやがってよー
・俺もあんな子と約束交わしてぇわクソが
・俺にもあんな青春時代が……特になかったわ。野郎共との楽しい思い出しかねぇわ
・↑それはそれで楽しかっただろjk
「さて、これで開会式も終わったわけだけど、これからなにする?」
俺の仕事はこれだけだから、ぶっちゃけ帰ってもいい。
・今日だけは各階で勇者達が待ってるわけだけど、明日からは違うわけじゃん?
・ゴーレムの性能教えてくれよ。対策考えたい
・確かに。見た目まんまド〇クエだけど、そいつとは違うだろ?
「なるほど。それじゃあ霧矢に実験体になってもらうか」
「へっくし!誰か噂を────ってうおっ!?各務!?」
「ちょっとお邪魔するぞ」
・判断が早い
・爆速で移動するじゃん
・邪魔するならかえってー
あのゴーレムと一番組手してるのは霧矢なので、新たな機能を追加したコイツとちょっくら戦ってもらおう。どうせ、しばらくはここに登ってくるまで暇だろうし。
「リスナーがこいつの性能知りたいらしいから、ちょっと手伝ってくんね?」
「えー……俺、そいつに苦い思い出しかないんだけど」
「それはあの時のお前がまだ弱かったから仕方ない」
マウントポジ取られながら、ギリギリ痛くないくらいの威力でパンチされまくったからな。自尊心とか色々傷ついたらしい。
「新機能あるから、五分くらいいい感じでやっといて」
「へいへい────ってなんだこの巨大な斧!?」
氷で作られたゴーレムには、同じく氷で作られた巨大な斧を両手で持っている。
「じゃ、よろしく~」
・実際すっごい強そうなんだけど……これ本当にクリアできる?
・無理だろこれ……あの斧とか当たったら絶対に痛いじゃん……
・俺まだレベル7だぞ?
「大丈夫だろ。レベル的に言えば、あのゴーレムは30くらいだし」
何回か挑戦すれば突破は出来るんじゃない?そういう風に作ったし、ちゃんとレベルも上がるようになってる。
それに、クリア条件もどんな攻撃でもいいから一撃当てる出し、難易度としてはそう難しいものじゃないだろ。
「ちなみに、あいつの他にもあと三体ゴーレムがいるけど、それぞれ武器は籠手、大剣、片手斧ね」
・なんなんだそのラインナップは……
・そもそも強そうなゴーレムに武器持たせんなよ
・なんであのゴーレムあんなに動きが俊敏なんだ?霧矢が苦戦してるように見えるんだが
「そろそろ5分か」
「一体何が────ってどわっ!?」
著作権対策で目元だけあの黒い感じで隠している所がキラリと光り、ゴーレムから魔力の波動が吹き出る。その圧によって、霧矢が少し吹っ飛んだ。
「五分経つと、あのゴーレムはオーバーリミット状態となって、必殺技が飛び出ます」
「必殺技!?なんでそんな凶悪なもんコイツに持たせ────」
『叩きのめす!更にのめす!まだのめす!それが────ファイナ〇プレイヤー!!』
「なんだそのチョイス────どおおおお!?」
よし、無事に出たな。
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明日の朝7時30分くらいに新作投稿するよ
作者のくせに珍しくプロット書いたよ!
20話の書き溜めが珍しくあるよ!
珍しく20話で一旦終わりの中編だよ!
皆読んで♡
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