第39話 クラスメイト
・うっわぁ……
・容赦ねぇ……
・というか、こいつ死んだんか?
・いや、刑務所送りって言ってたから流石に死んでないはず……
・でも、背中から剣が貫通してたぞ?
「連れて行け。試験的監獄の記念すべきお客様第一号だ」
全く、力を手に入れるとこういう風にイキリ出す輩は必ずいるから、本当に厄介だ。この辺は異世界でも変わらんな。
「一応言うが、殺してはいない。一時的な仮死状態になっていて、氷が解けたらまた息を吹き返す」
とりあえず、強烈な見せしめはすることが出来た。これで、スキルを悪用するやつが減るといいんだけど……まぁ減らないだろうなぁ。どうせバレへんやろ!とか思ってるやつ多そう。
制圧の面では、そのうち俺が鍛えた警察官の人たちが全国に手配されるから大丈夫だと思うけど、スキルを使ったかどうか監視するシステムはやっぱ必要だよな。
それはおいおい考えていこう。
・しかし、この法律厳しくない?
「あ?何言ってんだ。別に、いつも通り生活すればいいだけの話だろ?スキルなんか生まれる前のような生活を」
何を厳しいことがあるのか。妥当だろ普通に。これに異を唱える奴は、心の中で後ろめたいこと考えてるやつだけだろ。
・……まぁ、うん、確かに……そうだよな
・よくよく考えれば、普通に日常生活してれば関係ない話か
・デデン!ってでっかく発表して、大事に見えるだけで、言ってることは普通なんだよな
・逆に、この法ウゼーって思ってる奴は犯罪者予備軍の可能性が高いって訳で
・マジか。ちょっと友達と距離取るわ
「そうそう。ふつーにしてればいいんだよふつーに。そいつが一番偉いんだから」
氷像となったキメェシェ〇ミを見送り、再び舞台へと登る。
「少し邪魔が入ったが、これにて開会式は終了とする。各自、準備が出来た者から招待状を掲げて、『転移!』と決めゼリフっぽく叫べ」
ここにいる300名だけでなく、俺の選考をクリアした人全員に招待状は送っており、それを掲げて『転移』と叫ぶだけで、自動的に香川ダンジョンに移動できるようにした。
だがしかし、数秒待てど誰もこの場から移動しようとしない。
・誰も言わねぇな
・まぁ、一番槍ってすっごい恥ずかしいもんね
・いちばん最初に言ったやつほど勇者だろこれ
「いやいや、人生で一度くらいは言ってみたいだろ。君たちも家で最近実装された〇タルの『焦土作戦実行!』って言ってるでしょ?」
俺は秘技を使う度に言ってるぞ。だってかっこいいじゃん。
・いや……それとこれとは話が別と言いますか
・人前でやることじゃないよね
・俺は親に聞かれて無事に死んだ
・成仏してクレメンス……
・何かやる気出すようなこと言ってみれば?
「やる気ぃ~~~~?じゃあ、今日夜の10時時点で、最高到達を記録した人は、俺の武器庫からなんか武器を────」
「転移!!!」
「────一つ進呈ってはっや」
・爆速www
・男の声だったな。やっぱりロマンには抗えなかったかwww
・一人行き出したら続々と行ったな
・やっぱ武器は欲しいよ
・転移エフェクトの青い光が綺麗だァ
判断が早い。続々と響く転移と叫ぶ声に、腕組みをして頷──おい、今誰かどさくさに紛れて『変身!』って言ったヤツいたな。申し訳ないけど、甲冑鉄騎は出ないんや。すまんな。
・これで全員………ん?
・あれ、誰か一人残ってね?
・女の子だ!しかも制服!
「………んで、君は何してるの?」
「少し挨拶。こういう場じゃないと、落ち着いて話せないかなって」
会場に、一人ぽつんと残っていた彼女。黒髪黒目で俺がこの前、THE・清楚な大和撫子と視聴者に紹介し、魔法の実験台になり、コメント欄をあたふたさせた────
「久しぶり、御神楽君。元気してた?」
「ばっちしばっちし。異世界行って風邪とは無縁な体を手に入れたしな」
────
「もっかい聞くけど、何してんの?」
「まー雑談?ほら、私と君の仲じゃん」
何がほらなのかは知らんが、確かに彼女とはクラスでも仲が良かった方だとは思う。早川とは一年の時も同じクラスだったし、何回か隣の席になったという縁もあり、普通に友達である。
・ま、また可愛い女の子……
・各務の周りには美少女がたくさんだなぁ(白目)
・羨ましい………
・いいなぁ
「とりあえず、はいこれ。返しに来たよ」
「え、それ貰っていいって言ったじゃん」
彼女が手を出すと、そこには一つの腕輪があった。それが発光すると、一振の剣に変形した。
「いやー……流石に現役JKにこれはちょっと……かなり心は擽られたけどね」
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早川←←この名字、ピンと来た貴方は古参ファン通り越して化石ファン名乗っていいです
世界線とか、細かいことは気にしないでね
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