第38話 新法
舞台袖に控えていた自衛隊の人を手招きする。
「誰?」
「申し訳ありません、私たちにも誰だか……」
・……ふーん?なーんか見覚えがあるの気の所為?
・てかなんだあの語尾。キッショ
・男のデブがやってもなんの需要もねぇんだわ
・この場から消えてくんねぇかな。反応見るに招待されてないでしょ?
・てか各務は会場にいる人把握してるんじゃないの?
「いや、してるにはしてるがギリギリまでMCの参考になるかと思ってブ〇ロの一話見てたし」
マジで誰だコイツ。一応、この会場は東京でやってるし、場所もホームページで公開してる。
……まさかリア凸?普通にこいつ不法侵入なんだが?
「まぁいい……お前は誰だ。俺が招待した人じゃなさそうだが」
「僕は配信者でしゅ!こんな面白そうなネタが転がってるのに、行かない訳がないでしゅ!」
言質取ったり。ふーん?つまり、アレのお披露目のしてもいいって訳?
もう一人、別の場所にいる自衛隊の人にサインを出す。それを見て、頷いてから裏へと消えていった。
「俺は名前を聞いたぞ?もう一度聞く。お前は誰だ。名乗らないなら、俺の中でキメェシェ〇ミで固定されるぞ」
・ブッフォwwwww
・いやwww確かにアイツもでしゅでしゅ言うけどwww
・流石にポ〇モンに失礼だろwww
・チキチキ!こんなシェイ〇は嫌だ!
・人型デブ
辛辣ゥ。まぁでも────お、確認取れた?じゃあそんな扱いしても大丈夫か。コイツは今から人じゃねぇし。
「ぼ、僕はひろしって名前で活動してるでしゅ!」
「野原?」
「違うでしゅ!偽名でしゅ!」
・おいwwあんま弄ってやんなってwww
・今思い出したわ。各務、コイツ迷惑系配信者だ
・あー、何回かそういえば警察に厄介になってなかった?
・確かにそうかも
・人気ないくせに、時々ネットでニュースに出るから知名度だけはあるぞ
・そのせいで方々から嫌われてる
ふーん、前科アリね。
指パッチンをして、魔法を発動させる。本来ならば、ステータス画面は自分以外だと、女神であるフェイルノートしか覗くことは出来ないが、何回かフェイルノートと会話をすることで、俺でも見ることが出来るように、そういう魔法を開発した。
「……本名……は、お前の名誉のために言わないでおくわ。レベルは……1?うわっ、ステータスは魔力以外オール1のクソザコじゃねぇか……ふーん?スキル『透明化』……お前、このスキルで侵入したでしょ」
「その通りでしゅ!このスキルさえあれば動画のネタはたくさん取れるでしゅ!ここでも通用したんなら、これからどんな場所でも侵入し放題でしゅ!」
そうか……さすがに、まだ自衛隊の人は気配感知を取得してなかったからな。無理だったか。
・は?今コイツこれから堂々と犯罪行為します!って言った?
・言ったな
・うわ……流石にやべぇわコイツ
・逮捕できないんか?
・ここにいるのは自衛隊だけだろ?逮捕権はないんじゃないかなぁ……
「そうか……なら一つ、お前にいいネタを仕入れてやるよ」
会場から降りて、真っ直ぐに犯罪者の元まで歩いていく。その際に、モーゼの十戒のように人の波が左右に分けて、障害物が無くなる。
「今、政府では新しくダンジョンについての新しい法律を作る動きがある。その中で、一番早めに施行しないといけないのが、『犯罪』についてのものだ」
これが無ければ、今までのような法律でいけば、絶対にダメだ。今回のコイツのように、犯罪をしたのに犯罪と認められないケースが出てきてしまう。
「今回は、関係あることだけ話すが、それはスキルの悪用により、犯罪をしたケースの場合だ」
それが、俺が国会議事堂まで呼び出されて頭の硬いおっさん共と口論をした理由だ。全員消極的だったから物理的に圧で黙らせて、キッシーと、一部まともの人達だけの会議になっちゃったけど。
「まだ初期案のため、これから不備は出てくるが、今のところは、どんなに軽い犯罪であろうと、スキルを使った犯罪に対して、それが発覚した場合は、極めて悪意があると判断され、一時的に犯罪者の人権を取り上げることになる」
・…………ファッ!?
・基本的人権の尊重はどこいった!?
・これは……流石にやばいんじゃねぇ?
・流石に人権を取り上げるのは……
・いや、でも妥当じゃね?
・犯罪者に人権は要らねぇとは常々思ってはいたが……
・……でも、確かにスキルってさ、今までダンジョンにしか目に行かなかったけど、こうして悪用も出来るんだよな
「ことが理解できたか豚野郎。不法侵入、極めて悪意のあるスキル使用により────お前は刑務所行きだ」
「はぎゃっ!?」
無限の武器庫から武器を射出。ぐさり、と背中から胸にかけて貫通し、氷像が一つ出来上がった。
「いいか。これは見せしめでもある。くだらねぇ事すんなって言ってんだよボケが」
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ちょっと今まで立て込んでたのが解消したから、暫くはもうちょい早く投稿できるかも。
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