デスゲームを主催する側になりまして

第30話 転移

「おもしれー女」


 パッ!と現れ、パッ!と慌ただしく消えてったフェイルノートに対し、そんな感想をボソッと呟く。実際凄いおもしろかったし。


・コイツ、無敵か?

・仮にも神に対しておもしれー奴認定は強い

・確かに面白かったけどさぁ……

・こんなこと言えるの後にも先にもコイツだけだな

・あのー……こんな空気の中ですけど、ちょっと


「ん?どうした?」


 やることも終わったので、もう一度視界に魔法でコメント欄を復活させると、何やら気になるコメントを発見する。


・ん?……あ!?蟒蛇の迷宮の前にめっちゃマスコミ集まってるわ!

・バッキャロー!危ねぇからダンジョン付近には勇者とダンジョン対策部以外近づくなって政府が言ってたろーが!

・うわぁ……今テレビ見てたけどどのテレビ局も出てくる各務を今か今かと待ってるぞ

・マスゴミくん達さぁ、攻略終わったばっかで疲れ────いや、別に疲れてはいないか

・気持ちは分かるけど、もっと配慮を学んで欲しいわ


「は?だるっ」


 どうやら、迷宮前に記者達がたくさんいるらしい。どのくらい集まっているかは、テレビを見れないから知らないが、コメント欄の引き度から相当だろうと予想。


 ……ま、別にいいか。もともと正攻法で帰ろうと思ってなかったし。


「さて、帰るか。皆も回収しないといけないし」


 さて、俺の他にもう攻略を終わらせているメンバーはいるかな?


・なんでそんな平常し────まて、帰る?

・皆も回収?どゆこと?

・何を呑気にスマホを弄って……


 勇者ちゃんねるを開き、配信中の俺以外のメンバーを覗いてみる。すると、ちょうどゆかりがボスをぶっ倒したところだった。ナイスタイミングだな。


 一歩脚を踏み出す。すると、一瞬で景色が代わり、ゆかりが目の前に現れる。


「よ、おつかれ」


「……………各務くん?」


「おう。俺だぞ」


 突然現れた俺に、ぱちぱちと目を瞬かせる。からん、と持っていた薙刀を落とし、パタパタと俺の元へ近づいてくると、少し冷たい手で顔を触ってくる。


「……ほんもの?」


「あぁ」


「っ!」


「おっ、とと」


 ぎゅむぅぅぅぅ!と効果音が付きそうな程に強く抱き締めてくるゆかり。今日は女の子からのスキンシップが多少激しいな?


・なん……この……なに?まーた新しい魔法?

・もう本当に何しても驚かんて。流石に転移は驚いたけどな

・とりあえず、迷宮前に陣取ってるマスゴミ達ざまぁwww

・行ったことのない場所にもいけるの流石にズルくない?


「あぁいや、別にそういう訳じゃないぞ?」


 ゆかりの頭を撫でながらコメントの疑問に答えていく。それより、俺が思うのもあれだけど、君たちこの状況に慣れたね?いくらゆかりが俺にしか懐いていないのが丸わかりだとしても。


「さっきの魔法は確かに、ドラ○エのルーラしかり、ポ○モンのそらをとぶしかり、一瞬で場所を移動する転移だ。異世界御用達」


 ただし、ポケモンレ○ジャー光の軌跡のムク○ークは許さん。ラテ○兄妹と比べてスピードが遅いんだよ!


「この魔法は、俺がいたとこでもかなりメジャーでな。街中歩いてると目の前に人が現れることもあってな……一回だけ、女性の胸に突っ込んだことあるんだよ」


・よし、今からこの魔法世界中に流行らせようぜ!

・不法入国されまくるんで却下

・下心が見え見なので却下

・色々と問題がありまくるので却下

・ぴえん………


「魔法の名前は、もうみんな言ってるけど『転移』だな。一度行ったことのある場所や、目印となる物や魔力のある場所へ一瞬で行くことが出来る超便利な魔法だ。今回は、ユーリの存在を目印にしてここに来た」


・そん……ざい?

・ちょっと何言ってるか分からないですね

・もうお前逆に何ができねぇんだよ。言ってみろ!


「え、世界平和?」


 その気になれば世界征服とか出来るけど、めんどいし、つまらんし、楽しくないし。


 それに、どんなに俺が世界平和を謳おうと。愚かな人間は一定数必ず現れる。人間とは愚かなものです。


「ま、ということでこの転移使ってそのまま皇居帰るし、俺もそろそろ配信閉じるわ。また次のダンジョン攻略で会おうな」


・次は一体いつになるのか……

・あの女神様もはよ来い言ってたからな

・早くても一週間か?流石に準備期間いるだろ


「それじゃ、おつかれ………ゆかり?そろそろ離れない?」


「いやよ。寂しかったもの」


「ほなしゃあないか……」


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ちょっち仕事がまたまた忙しくなってきたので、投稿頻度落ちます。もうしわけ

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