第29話 質問コーナー

「まず一つ。攻略したダンジョンはなんで消えない?」


 五つまで、と制限されたので俺が個人的に気になっていることについて聞いていこう。コメント欄で募集してもいいのだが、そんな時間が無い。


「えーっと……なんて言えばいいのかしら……そうね。本来、このダンジョンは生み出した魔王の物よ。最初は、このダンジョンも魔王の気で支配されていたものだけれど、後から私が上から押さえつけるように力を加えることで、私の力と魔王の力が丁度中間地点でせめぎ合っているの」


「……なるほど。陣取り合戦的なものか」


 把握。なるほどなぁ。だからダンジョンの途中で空気が急に変わった気がしたり、魔物が強くなったように感じたのか。下に行けば行くほど、魔王の陣地になるから敵も強化される。まぁ当然か。


「今回、勇者様がここを攻略してくれたことで、ここは神である私のものとなったわ。ダンジョンは、人に多くの力と富を授けるものだから、遠い未来のために、こうして残しているの。もちろん、ちょっとしたものだけど、私のサポートも付いているわ」


「サポート!一体どう言ったものだ?」


「そうね……さっきも言ったけど、私は戦闘よりサポートの方が得意なの。例えば、ダンジョンで死んでも、生き返れるようにしたりとか」


「──────ふぅーーーーーん???」


 へぇーーーー?????なるほどなるほどーーー???これは使える。


・おい、その顔やめろ

・こいつ、絶対今何かろくでもないこと考えたろ

・やめろよ………!絶対に俺たちに飛び火するようなことはやめろよ!!


 まだ何も言ってないじゃん。別に、デスアタックさせようなんて思ってねぇから。


「それじゃあ二つ目。フェイルノートと魔王ってどんな関係?」


 これも、気になっていたことだ。あの動画で、フェイルノートが最初に謝っていたのとか気になるし。


「元々、私の一族とあの魔王は敵対関係だったの。こことは別の世界で、幾つもの宇宙を又にかけて戦争をしていたわ。同族は既に私以外全員死んで、あの魔王もあと一歩のところで封印出来たのだけれど、逃げられちゃって」


「それは……悪いこと聞いたな」


「いいのよ。私達は死んでも、ある程度の年月が経てば、元の世界で生まれ変わる……まぁ、生前の記憶は全部失っちゃうんだけどね」


 そうあっけからんと笑う彼女だが、確かにその顔には寂しさも見えた。少しでも、その寂しさが埋まるように、強く彼女を抱きしめる。


「んっ……ふふっ。ありがと、ちょっと元気出た」


「あまり無理するなよ。神だって、俺たちと同じで感情は持っているし、心だって摩耗するんだから」


「んぅ……ちょ、ちょっとドキッとしたかも……そう言われて心配されるのちょっと新鮮……」


・俺たちは何を見せつけられてるんだ?

・そりゃあ……何だろ?浮気現場?

・ユーリちゃんが準備運動を始めました

・俺さ、ユーリちゃんの配信と二窓してこれ見てるんだけどさ、ユーリちゃんもコレ見てんだわ

・気のせいかな?口の端がピクピクと反応しているように見える


「……こ、コホン!そ、その……あなた達地球人の皆には謝らないと行けないわ。私たちの尻拭いをさせてるようなものなのだから」


「謝ることじゃない。それに、俺はこうしてフェイルノートに会えて嬉しいぞ?」


 それに、意外と力貰えて嬉しいとか思ってる人は結構いそうだしな。そう気に病む必要は無いと思う。


「………きゅぅぅぅん」


 え、なんだこの鳴き声。


・あ、バカっ!

・おまっ……!軽率にイケメンが甘い言葉言いながら微笑んでんじゃねー!!

・あー……これはクリティカル、入りました

・うーん。神とは言え流石にチョロイン過ぎんか?

・しょうがない。同族も虹の橋を渡り、心が弱っている時にこのイケメンマスクとこのギャルゲーの主人公のびっくりな寄り添う気遣い。100点です

・これは惚れる。俺もぶっちゃけときめいちゃった


「う、嘘……!私、こんなにちょろく……ってなによあなたのこの特攻(神)って!?絶対に意味違うでしょ!!」


「え、何それ知らん」


 そもそも俺が覗いても『いっぱいありすぎて分かりません!』と拒否られたんだぞ。俺が知ってるわけないじゃん。


「きゅぅぅぅん……!や、やだ!無駄にドキドキしたせいで、力の消耗が激しい!もっとお話したいのに!」


「え!?もう消えんの!?」


 あ!ほんとだ!なんかフェイルノートの体がチカチカ点滅し始めた!


「か、加護!せめて加護付けさせて!そうしたら何時でも私と会話できるから!」


「え、うん。いいけど……大丈夫?」


 俺の血って半分はあいつの血で構成されてるから、加護付けれるの?一応、あいつって最高神らしいから、それを上回ってないと加護なんて付けれな────


「あ」


「え゛!?」


『浮気、ダメ、ゼッタイ』


「そ、そんなぁぁぁぁぁ!!!」


 ブオン!と俺とフェイルノートの間に出てきたウィンドウ。そこには、あの女神からの伝言が記されていた。


・なんか一気にギャグ路線に行ったな

・後半マジでてんやわんやだったな

・女神様消えるまで何分だった?

・大体二分くらい。マジでなんか力消耗してたっぽい?


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特攻(ダメージとは言ってない)

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