第25話 蟒蛇

 中ボス戦の部屋は、今までの部屋とは違い、魔法陣ではなくそのまま扉が出現する。その扉を開けると、またまた『飛び込め』と言わんばかりの大穴が空いていた。


「デジャヴ?」


・入口でもみましたねぇ

・まーた飛び込むの?

・穴の中暗いから見にくいんだよねぇ


「仕方ないさ。それ行くぞ」


・はいよー

・もうこの軽さにも慣れてきた

・見ててもこいつは死なねぇなっていう絶対の安心感がある

・それな


 ぴょん、と穴の中に飛び込む。入口の時とは違い、かなり長い間の自由落下をすると――――明確に、ピリリと空気が変わった感じがした。


「………なんだ?」


 あからさまに、今までの感じとは違う。脅威は感じないが……なんていうか、さっきよりも濃く悪い気配を感じる。


 それに、ちょっとばかし熱いな。魔法で体温を調節してと―――あー。


・え……

・うっっっわぁ……

・なん……これ

・火山地帯……?

・そんな生温いものじゃないだろ

・あぁ。まるで地獄だな


「なんか、こっから本番って感じがするな」


 景色はガラリとかわり、先程の緑一面とは打って変わって、火山地帯となった。


 今は魔法で温度調節しているため、快適ではあるが、恐らくここはクソ暑いし、流れている川も所々コポコポと泡立っている。あれ多分沸騰してるよな。


「それよりもなんだここ!酒クセぇ!!!」


 ――そんなものより、すっごい気になるのはこの鼻をつんざくような濃いアルコールの臭い。あまりにも強烈すぎるので、急いで氷の鼻栓を作ってから、突っ込む。


 異世界では成人していたので、普通に酒は飲んでいたがそれでも嗅いだことのないくらいに濃い。耐性ない人は恐らく臭いだけでも酔うだろう。


・そんなに?

・ほえー、やばそう

・……なんで皆各務が浮いてることに関してノーツッコミなんですかね

・慣れたわ

・どうせコイツならこんなことも出来るんやろなって思ってたわ

・もう何しても驚かないわ


 着地。こんなにも酒臭いってことは……もしかしたら、あの高温度の川って全部酒だったりする?


「一回飲んでみたいが……この世界だと未成年飲酒になっちゃうからなぁ」


・未成年飲酒、ダメ、絶対

・飲むなよ?フリじゃねぇからな!


 とりあえず、川の近くでぐでーってなってるあのでっかい蛇を観察するか。なんか知らんけど全然動かないし、敵意も感じない。


 ……寝てるのか?と思い少しづつ近づくと、残り距離が2mを切った所で急にこちらに向かって大きく口を開いてきた。


 パシっ。バチュン!


「っと、びっくりした。寝てるんじゃなかったのか」


・掴んだ瞬間蛇の頭が爆発しました

・今見たまんまの事を話すぜ……

・蛇の頭がこっち向いた瞬間、爆発したんだぜ……

・これがホントのキュッとしてドカーン(物理)


 こいつらマジでどんな生態してるんだ。しかも、さっき一体やったからか知らんがぐでーってしてたヤツらが全員起きてこっちに向かってきている。


「………なんかゆらゆらしててキモイな」


・言ってやるなって

・確かにキモイけど

・……もしかしてこれ酔ってる?


「ありそう」


 川の傍でぐでーってなってたのってもしかして酒飲んで酔ってたから?


「まぁいいか。とりあえず死ね」


・慈悲もなし

・特に意味もない殺意が蛇達を襲う

・蟒蛇の迷宮ってそういうこと?蛇が酒飲んでるからなの?


 背後から武器を大量に射出。向かってくる奴らを滅多刺しにして死体に変えた所で少し違和感。


「…………」


・どうした?

・なにか気になることでも?


「…………いや、気の所為かもしれないから今は言わないでおく。確信を持ってからだな」


 先に進めば分かる事だ。もしかしたら本当に気の所為かもしれないからな。


「ところで、他のみんなはどんな感じよ?」


・まぁ順調よ

・ニンジャは面白いから見てて退屈しない

・ユーリちゃんは本当に黙々と探索してる

・直樹は色々とトラブルが起きてる。全部ノーダメだけど

・お、今霧矢が美作さんに抱きついたぞ


「なにぃ!!」


 ちょ!チェックチェック!RTA一旦停止!


 慌ててもう1つのスマホを取りだして、勇者ちゃんねるを開いて霧矢の配信へ。


「ウワー!もう終わってるじゃねぇか!」


 しかし、既に二人は離れており、互いにそっぽを向いて顔を赤くしているシーンしか見れなかった。


・なんでこの勇者1番悔しそうなんだ

・そりゃ厄介だからな

・厄介隊長だぞ




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はよモンハ○ワイルズ発売されんかな(気が早すぎる男)

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