第26話 ボス戦

 あれから、ロスした時間を取り戻すかのように破竹の勢いでダンジョンを攻略した。


 あの火山地帯になってからは、いちいち殲滅とかしなくても下に続く階段を発見したので、見敵必殺しつつ階段を探しまくった。


 途中で遭遇した中ボスは二体。間隔こそはAプラスのダンジョンよりかは長かったが、総数自体変わらないのはちょっとびっくり。


 そして、現在おそらく129層目。俺の予想が正しければ、次がボス部屋なんだが先に視聴者に対して一旦放置していた違和感について話そうと思う。


「敵が強くなってるな」


・どうした急に

・そりゃそうなのでは?

・思い出してみろ。今まで中ボス含め全部ワンパンだったろ?

・確かにそうか

・俺らからしてみれば敵が強くなっている感じがしないのか


 最初は気のせいかと思っていたが、階層を下る毎にどんどん敵が固くなっているのだ。


 確かに、全部ワンパンで吹っ飛ばしているからあんまり関係は無いが、若干剣の刺さりが悪い。


「当たり前かもしれんが、もしここが一般開放された時は気をつけるように」


 それが何年後になるかは分からないが。


 ササッと階段を見つけて降りる。その瞬間、またもや肌身に感じる空気感ががらりと変わる。この感覚……覚えがあるな。


「ラスボスだ」


・まじ?今何分経ったよ

・55分ってとこ。あと五分で一時間

・ここのダンジョンの最下層は130層か……長いな

・本当だったら何日もかけていくんだろうな……


 階段を降り切ると、前も見たように余計な障害物はない、開けたフロアのみ。足を踏み入れると、両側の壁から順番に松明に火がともり始める。


 ボス部屋なのになんでこんなに登場演出がオシャレなんだよ。


 とりあえず、部屋の真ん中まで進み足を止める。見る限り、ボスの姿は確認できない。


・いない……な?

・まさか逃げた?

・いやまっさかぁ……いやいや、まさかな

・信じきれてねぇじゃん。自分の発言には自信持ちな


 確かに、目に見える範囲にはいない。だがしかし、さっきからずっと、殺意が俺に向かって解き放たれている。


「………上か!!」


 耳が捉えた微かなカサカサ音。上を見上げると、巨大な骸骨頭が俺に向かって鎌を振りおろそうとしていた。


・こっっっっっわ!!

・骸骨の蛇……か?

・気の所為じゃなければあれ、全身の骨みたいなやつが鎌に見えるんですがそれは

・全体的に殺意が高い


 バックステップ。そしてついに、奴の全貌が明らかになった。


 体長はおよそ10mほど。へび……というには些かあの両手の鎌が邪魔だが、まぁ十分に蛇と言えるだろう。


 そして、顔は骸骨なのだが、全身を構成する素材は、なんと驚き桃の木山椒の木。《鎌》である。


 まぁ簡単に表現するなら、頭以外の全身が鎌でできたガララ○ジャラみたいなもんである。


「とりあえず、小手調べだ」


 武器を射出。小手調べ、とは言ったがぶっちゃけこれで倒すつもりで聖剣魔剣名剣達を放っていく。しかし、一本の目の剣が奴にぶつかったあたりで違和感。


・効いてない!?

・嘘だろ!?全く無傷!?

・いや!効いているには効いている

・これ流石にマズイか!?

・逃げてくれ各務!一旦引こう!


 にやり、と骸骨の頭が笑う。ぐるぐるととぐろをまくように高速で俺の周囲を廻る。その間にも武器を放ってはいるのだが、やはり効果は薄い。


 ……めんどくせぇなコイツ。よりにもよって耐性持ちかよ。


・避けろーーー!!!

・終わりだ!!この世界は滅ぶ!!

・やめてくれーーーー!!


「──――しゃぁらくせぇぇぇ!!!!」


 獲物を狩るタイミングを見極め、鎌を振り下ろそうとした瞬間に、俺は奴の懐まで素早く潜り込み、その顎を蹴っ飛ばした。


 その結果、奴は空中まで高く吹き飛び、そのまま地面に倒れ落ちた。


・……………ん?

・…………は?

・ひ?

・ふ?

・へ?

・ほ……って変なところで団結見せるな

・一体何が起きた?

・俺の目には吹っ飛んだように見えたな

・奇遇だな。俺もだ


「物理耐性に、耐刃耐性に……衝撃を受け流す柔らかくも丈夫……ふんふん、大抵物理系の攻撃は90%カットってところか」


 蹴ってみて分かったが、やつの体は鋭く、丈夫なのに柔らかい。攻撃を受け流されていると感じたのはそのせいか。


「あまり舐めるなよクソ骸骨――俺は『氷の勇者』として、異世界では最強を名乗った男だぞ?」


 俺の体から冷気が放出され、それは目に見える形となって部屋の温度を下げていく。


「始めようか魔王の手先よ――最強の力の一端、見せてやるよ」


 左目から、紋章が迸った。


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明日の夕方五時くらいからワールドやります。一緒にやってくれる人はぜひXのフォローを

@YuzukiAoba

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