第24話 ドロップ
・いやぁ白熱した中ボス戦でしたね
・白熱……白熱?
・攻撃を躱しながら剣を突き刺していったのは鳥肌モンでしたね
・存在しない記憶が生えているヤツらが何人かいますね……
・じゃああの八岐大蛇はなんの攻撃してきたんだよ
・…………………
・…………………
・知らないからだんまりしちゃった
ポンっ、と倒れた八岐大蛇が消える。パンパンッと手をはたいてから死体があった場所へと近づく。
「ここで、ゲームが好きであろう視聴者に一ついいことを教えてやろう」
なんだなんだ?とザワつくコメント欄。背後に待機させてあるスマホを飛ばして、先に視聴者へと見せる。
・ざわ……ざわ……
・こ、これは……!
・まさか……!
「そう。お察しの通り、ドロップ品だ」
死体が消え、煙となり、それが晴れる目前に映る、恐らく親の顔よりも見た気がする四角形っぽいシルエット。
そう、お宝箱である。
・お宝キターーーー!!!
・ドロップ品!ドロップ品だぁ!!
・うひょー!!ロマンきたー!!
・適正検査落ちたワイ。もう一度勇者目指す決意をする
「今のとこ、こういう中ボスを倒したら必ずドロップ品が出ることは確認している。Aプラスでもそうだったし」
前回でたのは、いかにも回復効果のありそうなポーションと、装飾品だったな。俺は道具の効果が分かるような鑑定系のスキルは持ってないから、全部政府に引き渡した。
これから恐らくめちゃくちゃ研究されるんだろうな。
「さて、では、ご開帳~」
・ごまだれ~
・さてさて、中身は何かな~
・wkwk
・武器とかだったら欲しいなぁ。強そうだし
・Sランクダンジョンだからな。そりゃもう強いでしょ。知らんけど
・創作物だと確実に強いだろ
「こ……れは……」
そこそこ大きな宝箱の中には、ころん、と小さな指輪が転がっていた。
きらり、と青い宝石が輝く。見ている感じ、呪いの装備とかではなさそうだな。
・指輪かー。装飾品だな
・うーん。武器じゃないのかー
・ちょっと残念
・いや、まだ分からんぞ。もしかしたら指輪からレーザーとか出るかも
・いや、流石にそれはないだろ……
「異世界にはあるぞ。指輪からレーザーでるやつ」
俺の武器庫には入っていないが、魔力をそのまま魔法弾として撃つ指輪はあった。俺達にとっては雀の涙程度の威力だったが、そこそこ普及はしていた。
「うーん……俺じゃその場で鑑定出来ないのはちょっと悔しいな……」
・残念
・誰かこの中で鑑定持ちいないのか?
・すまねぇ、画面越しじゃダメなんだ
・政府が募集した研究員ワイ。ハンカチを噛み締めてる
・↑仕事しろ
まぁいいや。これは持ち帰った後にまた政府に渡そう。その方がいい。
ポイッ、と後ろに投げたあと、無限の武器庫に収納する。んー、なんかちょっと期待はずれだったなー。武器だったら無限の武器庫の能力で本能的に使い方を理解できるんだが……。
・他になんかない?
・流石に中ボス戦だろ?ドロップ品が一つだけは流石に……ねぇ?
・テンプレだと、ボスの素材とか手に入らんの?
「ないない。見たろ?塵一つないよ」
そこら辺はテンプレじゃないんだよなぁ。落とすやつなんて、本当にこういうドロップ品しか────あ、そういえばあったわ。
キョロキョロと周りを見渡す。ぶっちゃけ影薄すぎて、回収どころか存在すら忘れかけてたけど、あるわ。
「………お、あったあった」
宝箱よりちょっと離れたところ。大体死体の真ん中あたりにごろんと転がっている紫色の結晶体。
大体掌と同じぐらいの大きさ。手に持つとほんのりと温かく、少しだけいやーな気配を感じる。
・なんそれ?
・石?
・これが創作物のテンプレ通りなら……
「まぁそうだな。『魔石』と呼ばれるものかもしれないな」
モンスターを倒せば、大きさは様々なあるが必ず落とす仮称魔石。何故仮称なのかはまだこれに正式名称が決まってないから。
なんもかんも創作物から持ってくるのは時期尚早だからな。多分だけどじっくり研究したとしても『魔石』になるかもしれんが。
「と、まぁドロップ品としてはこんなもんだな。安心しな。前のダンジョンはちゃんと武器も出たから、運が良ければ出るよ」
さて、ちょっと時間喰ったし、少し急ぎめに攻略して行くとしますか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
面白い!続きが気になる!と思った方はぜひぜひ、この作品のフォローと、星評価の方をよろしくお願いします!
最近ランキング下がってきたの(ボソッ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます