第23話 出落ちがすぎる中ボス戦

「……ん?」


 何やら電波が飛んできたので、足を止めて頭を搔く。


・どうした?酔った?

・それ俺らに言ってる?

・酔ったさ。あぁ、それはもう盛大に

・霧矢の配信と二窓しながらジュース飲むんじゃなかった

・逆になぜ各務は酔わないのか

・あんな立体機○装置もびっくりな動きしてよく酔わないな


「そりゃ年季が違うからな」


 ダンジョン攻略を始めて10分が経過した。


 このダンジョンは、なんとフロア全部の敵を殺すことで次層に移動できるタイプ。もう既に30回ほどフロアに満遍なく武器を降らせている。


 しかし、次の回に移動するには、専用の魔法陣に乗らなくてはならないので、それを探すために空を飛んだり、木から木に飛び移ったりとササッと攻略するために、視聴者のことなんて全く考えてない配信になっている。


「んー……」


 謎の電波を感じて止まったはいいが、特にこれといった違和感は無いな……。


 ま、いっか。どうせ霧矢辺りが俺に向かって呪詛でも吐いてんだろ。帰ったら訓練の量増やしとかないと。


 脳内で霧矢が「理不尽!?」と言ったのを確認して移動を開始する。既にこのフロアのクソトカゲ共は皆殺しにしているため、後は魔法陣を探すのみ。


 しかし、これが普通にめんどくさい。俺は魔力で探知できるからいいけど、これ普通の人からしたら厄介極まりないな。草で足は取られるし、透明になれるクソトカゲもいるし。


「ハイ発見。次」


 白く輝く魔法陣を発見次第、それに乗ってフロア移動。


・そういえば、一時間でクリアするとか言ってたけど、これどこまで続くか検討ついてるん?

・確かに。Aプラスはどうだったん?


「知らん。数えてないよ。自分の目で確かめに行けば?消えてないし」


・あれ、そうなの?

・まじ?消えてないの?

・こういうのは消えるかその場に残るかの二択だが、まさか後者の方とはな

・つまり、俺らも鍛えればいつかは挑める時がくるということ?


「そうだね。しかも、クリアしたら推奨レベルめちゃくちゃ下がったし」


 どうしてかは知らないが、一度クリアしたあのダンジョンは、攻略推奨レベルが大幅に下がっていた。


・ファッ!?

・報連相しっかりしてくれ!

・そういうのはなー!早めに言わないとダメでしょーが!


「いや、どうせホームページで発表されるからいいかなーって」


・そういう問題じゃないんですわ

・第二世代の為にももっと情報置いてけ………置いてけ

・今後の『勇者』募集にも大分影響出るでしょその情報

・やっぱ命に関わる情報は大事よ


「ごめんて」


 いや、実際は須貝さんには報告してたよ?確かに、昨日の今日でホームページに情報を出すのも酷な話か。一個ずつ小出しするより、纏めて出した方がいいもんな。


「それより第二世代ってなに?」


・今いる300人の勇者を第一世代とネットで言ってるらしい

・ほな次は第二世代か~ってとこ

・そもそもこの人なんでこんなゆる~い会話しながら高速機動できるんだ……?


 この雑談の間に、ポンポンポンポン移動を挟み、現在39層目。丁度魔法陣も発見し、すぐさま乗って40層目へ。


「………お?」


 そして、移動した瞬間に今までの景色はガラリと変わった。さっきまでは外にいるような感覚だったが、皆が想像するようなTHE・ダンジョンの見た目になり、壁には誰が設置したのか松明たいまつが置かれ、光源代わりになっている。


 そして、目線の先にはこれみよがしに『なにか居ますよ~』と存在を主張する重厚な扉が。


・ボスゥ……ですね

・あからさますぎるな

・いや、まぁこの方が分かりやすいから助かるまであるが

・もしかしてラスボス?


「いや、これはまだ中ボスだな。Aプラスにもいた」


 ラスボスの層はもっとこれみよがしに『ラスボス!』って感じがする。ワンフロア全体がボス部屋で、登場演出もあった。


 まぁワンパンで吹っ飛ばしたんたんですけどね、初見さん。


 ペたり、とドアに手を触れそのままググッと力を入れて開けていく。


・ちょちょちょちょ

・待って待って待って!

・え、そんなすぐボス戦入る?


「え?入るよ?」


 たかが中ボスだぞ?何をそんなに慌てる必要がある。


・いや、あの……もっと心の準備というか

・もっと準備することないの?ゲームでもボス前は準備するでしょ?

・見てる俺らの心の準備もいるの


「はい入りまーす」


・お願いだから待って!

・この魔王!


 魔王なんで君たちの心の準備とか知りませーん。そんな身構える戦いでも無いでしょうに……。


 何?君たちは俺がスマホに向かって『勝とうぜ!』とかやれば満足なの?職業は気持ち的に騎士ナイトやってまーすって?そんなことやったってどうせ瞬殺よ?


 ドアを開ける。それと同時に背後に武器庫を展開。そして、中ボスの姿を視認した瞬間、八つの頭に向かって武器を射出。


・ウワー!これ八岐大蛇やまたのおろちじゃねーか!

・きっっっっも!!なんで顔にでっかい目ん玉付いて────あれ、なんか剣刺さってね?

・なんか吠えた瞬間横に倒れたな

・………消えたな

・……え、終わり?


「今日基本こんなもんぞ?心の準備いる?」


・いらないです

・出落ちがすぎる

・八岐大蛇さん涙目不可避

・中ボスは泣いていい


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

実は私、アンジュ・リリンクというゲームをそこそこガチでやってまして。

何を言いたかというと、サークルメンバー募集してます。ゆったりまったりなので、楽しくやりましょう。

名前は『魔女王推し活』です。良かったらどうぞ

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