第22話 いのち短し焦がせよ男子(おのこ)
「それじゃあ、頑張りましょうね~霧矢くん」
「う、うっす!」
・どこぞの最強さんとは違って、なぜここの空気だけほんわかしているのだろうか
・そりゃおめぇ、ここがてぇてぇの空気に溢れてるからだろ
・気ばれよ、霧矢青年
・大丈夫。俺らが着いてる
「オメェらは俺のなんなんだよ!!」
うがー!と視界に映るコメント欄に対してプロレスを開始する霧矢。このコメントは、霧矢にしか見えないようになっている。
その理由は、朱里は後衛職なので視界を邪魔するコメント欄はない方がいいと、各務が言ったからである。もちろん、それは建前でこっちの方が面白くなりそうだからである。
今回、霧矢がケツを蹴られて朱里と共に各務に攻略するように言われたのは、試される大地北海道の函館競馬場の真隣に現れた『俊足の古戦場』。難易度区分はAプラスで、攻略推奨レベルは1000である。
実は、Aプラスダンジョンもそれぞれ推奨レベルが違うのである。各務が昨日爆速でクリアしたのは1500────日本に登場したAプラスでは一番レベルが高いところである。
・はー、新鮮なてぇてぇの空気で酒がうめぇ
・いいな。俺も酒買ってくるわ
・ワイは未成年だからジュース片手に見てる
・とりあえず、ダンジョン内で押し倒せ
・大丈夫大丈夫。危ない!とか言ってどさくさに紛れて押し倒せばいいから
・ついでに事故を装って胸を触るのもポイント高い
「何の!?何のポイント!?」
恋愛関係に途端に視聴者に振り回される霧矢。これも全て各務が悪い。
ちくしょうめぇ……とジト目で遠くにいる親友へ恨み言を飛ばす。恐らく……というか絶対、各務はそんなもの歯牙にもかけないだろうが。
「はぁ……落ち着け……落ち着け俺。ステイクール」
ブンブンと頭を振り、心を落ち着ける。視聴者とのプロレスもいいが、今回各務から霧矢に出されたお題は『朱里に傷一つ付けず、自身もノーダメージで攻略』するである。
失敗したからといってデメリットは無いだろうが、恐らくだが帰ったらぶっ倒れるくらいの訓練が待っていることは想像に固くない。
(……ふぅ、大丈夫。俺ならやれる)
今回、霧矢が握るのは『魔剣ディアブレイヴ』と『聖剣エクレスノール』。どちらも、各務から直々に貰ったあの五本の内の二本である。
この二振りのおかげで、霧矢の実力は現在のレベル+2000位はあると思っていいだろう。それほど、貰った武器は強力で、頼もしい相棒だ。
・お、顔つきが変わったな
・からかうタイムももう終わりか
・ここからは純粋に応援してる
・頑張れよ。お前達は、俺達日本の希望だ
「よし、それじゃあ、行きましょう朱里さん」
そう言って、霧矢は朱里へと振り返る。
「あなたは、俺がこの身体と剣に代えても、必ず守ります」
「…………う、うん」
・お、この反応……
・多分だけどクリティカル入ったくね?
・まぁ分かる。同性の俺から見てもさっきのはかっこよかった
・ふーん。これで高校三年生ってマ?
(……ちょっと、びっくりしたかも)
きょとん、と返事を返した後に普段とは違う様子の霧矢に、少しだけ頬を赤くした朱里。
さてさて、この青年のダンジョン攻略と恋路は上手くいくのだろうか……。
それは、この生配信を見ていた視聴者と各務のみぞ知る。
「あ、おい!お前もうちょっとここは積極的に行けよ!!」
「あ~惜しいでござるなぁ~ここのスタイリッシュ差が足りないでござる」
「おい。なんでここ押し倒さなかったんだよ。お前なら行けたろ?」
「うるせー!!!俺の部屋でアーカイブ見ながら実況するんじゃねー!!!」
ㅤなおその後()
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ブルロの映画を見に行ってきます。たのしみー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます