第21話 怒りの突撃
日本に現れた唯一のSランクダンジョン。通称『
蟒蛇……ということは蛇関連のやつが出てくるのか?爬虫類ねぇ……。
「殺意が湧いてくるな」
・どうした急に
・というか蟒蛇って何?教えて!えろい人!
・説明しよう!酒豪とか、酒をよく飲む人に使われる言葉であるが、でっかい蛇のことでもあるぞ!みんなが聞いたことある
・うわ、すっごい分かりやすい
・蟒蛇博士……
あのころの出来事は、とっくに乗り越えたものであるが、それでも爬虫類系と聞くと少し頭にくるものがある。
ペたり、とダンジョン入口の壁に触れる。ちょっとした神殿のような入口の中に、黒い穴が下に続くようにぽっかりと空いている。
・今更だけどこれどうやって撮ってんの?
・他の人はカメラ持つ専用の人がいたり、首にかけたりだけど、各務は一人だよな?
・まさかスマホを浮かしているとか?
・HAHAHA。んなばかな
「ん?魔法で浮かせてるぞ。ほれ、くるくるー」
背後に、魔法で浮かせているスマホに向かって、指をくるくる回す。すると、それに連動してスマホもぐるんぐるんと回る。
・あばばばばばばばば
・酔う酔う酔う酔う
・おぼぼぼぼぼぼ
・本当にやめちくりー!!
コメント欄が阿鼻叫喚になってきたので、五秒間だけくるくる回してやめる。視聴者と戯れるのもそこそこに、そろそろ攻略を開始するとしますか。
「それじゃあ、レギュレーションはなし。基本なんでもありなRTAな。穴の中に俺が入ったらタイマースタート」
・まだRTAを諦めてなかったのか
・レギュレーションがないのは当たり前だろ
・一応タイマー用意した
・ワイも
・ワイトも
・ちくわ大明神
・俺も────ってなんだ今の
「はい、よーいスタート」
ぴょん、と穴の中に入り、暗闇の中を落ちる。体感7秒くらいでようやく着地し、一旦キョロキョロと周りを見ながら、目に魔力を回して視覚強化。
「……おぉ」
そして、ついつい声が漏れてしまうほどに、そこには幻想的な空間が存在していた。
・うわ、すっご……
・迷宮……迷宮?迷宮ってなんだろうね
・地下のはずなのに明るいし、すっげぇ自然だな
・普通に綺麗だよな
・ここがダンジョン内じゃなければなー。ゆっくり観光するんだがな〜
「たしかにな」
俺が召喚された異世界には、このようなダンジョンはなく、向こうの世界でのダンジョンといえば、何千年も前からある魔物が住み着いた遺跡とか、魔王軍が建てた魔族が跋扈する建物とか、人の手が入り込んでいない所を指す言葉だった。
だがしかし、ここは地下のはずなのに、何故か太陽っぽい巨大な光源が天井にあるし、緑がいっぱいでジャングル見たいだし、どこからか爽やかな風も吹いている。
でも、いるなぁうじゃうじゃと。そこら中から、入ってきた侵入者への殺意が四方八方からぷんぷんとしやがる。
────死ぬのはテメェらだクソ爬虫類共。
「
俺は、爬虫類が嫌いだ。その中でも、トカゲが一番嫌いだ。目に入っただけでもブチギレる程に、奴らが嫌いだ。
あの時のことは完全に乗り越えた。もう夜中にあの光景を夢見て吐き出す俺はもういない。
だが、それとこれとは話は別だ。トカゲは嫌いだクソが。
パチン、と指を鳴らして天井いっぱいに無限の武器庫と繋がる青の波紋を出す。
・わ、わぁ……
・ゲートオブ〇ビロンをリアルで見るとこんな感じなのか……色違うけど
・指パッチンとか、ポケットに手を突っ込んだままとか、まんまAUOやな
・それにしては……スゥ……殺意、高くないっすか?
・気のせいじゃね(現実逃避)
・一体何が起こるんです?
・第三次大戦だ!
ぐにゃり、と目の前の景色が歪みコモドドラゴンの見た目をした四つ足のトカゲが目の前から出てくる。どうやら、景色に擬態できる生態のようだが、別にいることは分かっていたし────
「グギャッ!?」
・急に現れたと思ったら脳天に剣が突き刺さった!?
・うっわ、グロっ
・すまん。ちょっとスマホ伏せるわ
・うわぁ……血がそこら辺から飛び散ってるわ……
────俺には関係ないね。目の前にいることは分かっていたので、そこに合わせて武器を落とすだけ。
それだけで、このくらいの敵ならば簡単に蹴散らせる。
「よし、次だ」
・もうこんなん勇者じゃねぇよ
・誰だよ。Sランクはやめとけって言ったやつ。俺だよ
・俺もだよ
・改めて思うが、本当に味方でよかった
・敵で出てきたらどうやって倒すんやこの勇者
・やっぱ魔王系勇者……
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作者っぽいことするか……
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