第19話 ヨバい
「……ん?」
初のお披露目配信が終わったその日の夜。たまたまか、なんか知らんけど男衆四人組が全員PS〇を持ってきていたので、この時代に珍しいアドホックモードでの通信プレイをして一通り盛り上がった。
全員部屋に戻ったので、そろそろ俺も寝るかーと思ったところ、部屋の前に人の気配を感じたので、黙ってドアを見つめる。
通り過ぎるのなら俺もそのままスルーをするのだが、その気配はドアの前に立ったまま動こうとしない。
この気配は……ゆかりか。一体どうしたのだろうか。
「────あ」
「どうした?」
ドアを開けると、丁度取っ手に手を伸ばそうとゆかりと目が合う。
「……そ、その、少しいいかしら」
「大丈夫。部屋入るか?」
「………えぇ」
一体何のようなのだろうか。体をズラし、ゆかりを部屋の中に招き入れドアを閉め、くるりと振り向いた瞬間────ゆかりが後ろから抱きついてきた。
「………どうした」
「分からないの……わたし、何も分からないのよ」
震える背中を優しく撫でて、続きを促す。一体どうしたのだろうか。
「あなたが異世界で経験済みという話を聞いて、ずっと……ずっと、胸が痛いの」
「ゆかり……」
きらり、と濡れている紫色の瞳と目が合う。
なんという急展開。なんかちょっと面倒な雰囲気になってたから、少しの放置とその後存分に構ってあげたことで相殺できたかと思ったが、まさかダメだったとは。
うーん。さてさて、どう対応をしようか。場合によっては自分の感情に気が付かないままズブズブに依存していくという関係性が出来てしまう。ソースは俺。
師匠との淫らで退廃的な共依存生活は、今思えばそれもいい経験と笑って流せるが、当時は嫌なことから目を背けたいと、必死に現実を直視していない植物人間となる一歩手前だった。
出来れば、一時の感情に身を任せて、衝動的になるよりも、自分で考え、そして答えを出して欲しい。
────だから、近づいてくるゆかりの唇に、優しく指をおいた。
「それ以上はダメだよ」
「……どうして」
すりより、踵を上げ、残りキスまで約数センチ。据え膳が用意されているのなら、それにもうちょっと手数を加えてありがたくいただく俺だが、まだダメだ。
しっかりと、その胸の痛みが恋心からなのか、はたまた友愛からなのか。確実に分かった時に、この続きは行うこととしよう。
大丈夫。君ならきっと見つけられる。
「今はまだその時じゃない。一度寝て、しっかりと気持ちを整理したあと────それでも、この続きがしたいと思ったらドアをノックしてくれ」
その時は、俺の気持ちを正直に伝えようと思う。
指をそのまま上にあげ、手のひらでゆかりの目を覆い、思考がスッキリするのと、よく眠れるように魔法をかける。
フッ、と力が抜けたので支える。顔を見ると、すやすやと寝息を立てていたのを確認した。
お姫様抱っこで速やかに運び、隣のゆかりの部屋のベッドに寝かせる。
もう一度言うが、俺は据え膳はありがたくしっかりと頂く派だ。
「また明日、ゆかり」
額にそのままキスを落として、俺は部屋から出たのであった。
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各務→属性解放こそ至高。主武器はスラアク
霧矢→ここでも貫くは二刀流。主武器は双剣
浩紀→ニンニン。片手剣って小刀みたいでは?
直樹→曲射おもしれぇ!!!!
尚、作者は太刀かスラアクか双剣。ワールド楽しい。一緒にやってくれる人募集中
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