第18話 〇〇接触

「それにしても、さっきのやべぇよな。魔法を使えるようになるには、アレしか方法がないのか?」


「いや、これより効率もいいし、痛みも伴なわい方法はある。あるにはあるんだが……」


 美作さんの膝に沈み、膝枕堪能中の霧矢から視線を外し、直樹の質問に答える。あるにはある。だが同性には絶対やりたくねぇ。気持ち悪い。


・なんかすっごい歯切れ悪いね

・あるんでしょ?なら教えてほしーなー

・お願いおねがーい!


「………粘膜接触だ」


「…………なんて?」


・なんて?

・粘膜接触……ハッ!?

・もしや……もしや!?

・創作物でよくあるあの方法なのか!?

・なんで数人ピンと来てる視聴者いるんだよ

・分からん。俺はさっぱりだ


「粘膜接触……あー、つまりあれだよ……これ配信乗せて大丈夫か……?」


 好きにしていいとは言われたものの、流石にこれはいいのか……?


「まぁいいや。聞く人は自己責任で。つまり、キスや性行為のことだよ」


「「ブー!!!!!」」


・ブーーーー!!!

・飲んでたお茶吹き出しだんだが

・は?マジかよ……これほんとに大丈夫なんか?

・やっぱり……!えっちなことなんですね!

・まぁテンプレと言えばテンプレか……


 直樹と浩紀は思いっきり吹き出した。美作さんも吹き出しはしなかったが、『まぁ!』と言った感じで若干頬を赤らめて、手で口を塞いでいる。反応してないのは、未だに放心中の霧矢と、ずっと首を傾げているゆかりくらいである。


「………ま、ままままさかだが……各務」


「……主殿。経験済みなのでござるか」


「おう。おっぱいが大きくてえっちな年上の師匠に抱かれた」


「「なにぃぃぃぃぃぃ!!!」」


・おっぱい大きくて!!!

・えっちで!!!!

・年上の師匠だとぉぉぉぉ!!!

・許さんんんんんん!!!!!!

・野郎ども!!!今すぐ皇居行くぞ!!

・突撃じゃぁぁぁ!!!リア充許すまじ!!

・殺殺殺殺殺殺殺殺


 おーおー。コメ欄が荒れてる荒れてる。そんな反応になるのも当然か。


「各務くん」


「おう、どうし────」


「説明を。私は今、冷静をかこうとしています」


「────どうした?マジで」


 ゆかりさん。ハイライトが消えているぞ。


「ぐぬぬぬ……純粋に羨ましいでござる……」


「異世界……俺も行けばワンチャン……?」


「いや、それはどうだろうな。俺は最高に運が悪くて、運が良かったから師匠と出会えたわけで」


・ん?

・気のせいか……?

・少し影が見えたような……


「ひとつ言えることは、師匠のせいで俺の性癖は乱れた。ぬっぷぬぷだったぞ」


 あの体験は、一生忘れないだろう。凄かったもん。


 はぁ……逢いてぇな。


「…………ところで、二人は魔法使わなくていいのか?」


「「え?」」


 少し、俺の心がおセンチになってきたので、切り替える為にも二人に話題を振る。


「魔法、使いたくないの?」


「い、いやぁ……」


「霧矢殿の惨状を見て、やりたいと思う人はいないと思うでござるが……」


「粘膜接触はやんねーぞ」


「俺も嫌だよ!!!」


「拙者も嫌でござるよ!!!」


・一瞬だけホの空気を感じ取れたな……

・ウホッ、いい男♂

・いや、まぁいい男ではあるんだろうが……

・だけー!だけー!

・若干数の腐女子腐男子が湧いております


 いや、俺も嫌だけどね。やるなら普通に女の子とがいいわ。常識的に考えて。


「普通に疑問だけど、なんで粘膜接触は痛みを感じねーんだ?」


「うーん……単純に内からやるか外からやるかの違いだな」


 魔力は、血液と同じように身体の中を循環している。しかし、ほとんどの人は魔力を感じることはない。だから、一番最初に魔力を感じさせるように体の中に魔力を注入する。


 キスや、性行為ならば、魔力がそのまま体内に溶け、それを操作することできるのだが、体外の場合は、簡単に言うとドデカイ注射針をぶっ刺しているようなものである。


 魔力は透過できず、体内に入るには皮膚を通過しなければならない。魔力は、この皮膚を無理矢理ぶち破り、体内に入る。この皮膚を通過するという工程の副作用で、激しい痛みに襲われるのである。


「だから、痛くないようにしたいなら粘膜接触が一番。まぁそんなことするのはごく一部だけだけど」


「そのごく一部が目の前にいるでござる」


「ちなみに聞くと、各務はできんの?」


「出来るよ」


 まぁ実際にやったのは、練習相手の師匠だけで、その後に使うことは無かったが。


「ふーん……ところで、後ろのお嬢様がすっごい顔で各務の事見てるけど」


「知ってる。気にしてないだけだよ」


・すっごい顔。美少女がしていい顔ではないよね

・一体どんな心でこのクソオンナタラシを見ているのだろうか

・無難に考えるなら嫉妬か

・嫉妬………嫉妬かなぁ?なにか悩んでるようにも見えるけど


「よし、そろそろこの配信も終わるか。やることも無くなったし」


 目的は達成した。これ以上この話にならないようにここらで切るのが最善だろ。


「んじゃ、次はダンジョン攻略の時だな。その時までまたな」


・あいよー

・乙

・その時はまた見に来るぜ!




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本当は、タイトル『粘膜接触』にしようと思ったけど、ちょっとえっちかなーと思ったのでぼかしました

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