第17話 魔法
魔法でもう一度視界にコメントが映るようにして、倒れている五人を一人ずつ起こしていく。
「魔法ってやっぱずるいよなぁ。俺も使えるようになりてー」
「ん?使えるようになりたいのか霧矢」
ポイッと予め準備してあったスポーツ飲料水のはいったボトルを投げ飛ばしながら聞く。
「そりゃそうだろ。やっぱ魔法はロマンだよなロマン!」
「でもお前が好きな〇リトくんあんま魔法使わないじゃん」
「それとこれとは話が別だろ!!!!!」
圧が強い。
・声でか
・でもまぁ気持ちは分かる
・いいよな……魔法…
・っぱロマンがあるよロマンが
・詠唱したいもん
「じゃあいいよ」
「おん?」
「魔法、使えるようにしてあげるよ」
「マ??????????」
・は????
・そんなことが可能なのか?
・それが本当なら是非教えて欲しいね
・お願いしますなんでもしますから!
・ん?今なんでもするって……
・↑おめぇには言ってねぇ
「手ぇ貸せ」
「お、おう」
期待に満ちた目を向けながら、手を伸ばす霧矢の手を握る。
俺がいた異世界では、魔法を使えない人に対して使えるようにするという手段が存在していた。
それを、『魔力交感』という。簡単に言うと、人には元々魔力を生み出す器官があって、魔法を使えない人はそれが閉じている状態にある。
だから、それを無理やり外部からこじ開けて、魔力を感知できるようになろう!ということである。
ただし────
「めっちゃ疲れるし痛いけど気をつけろよ」
「お?どいうこ────いっっっってぇぇぇぇ!!!!!」
────皮膚接触では、物凄く効率が悪く、これを行うと物凄い痛みと疲労が襲いかかるのである。
これよりも効率のいい方法は知っているし、俺はそれを師匠からされたからできるっちゃ出来るが……まぁやり方がアレすぎるからやりたくはねぇな。
「はーい、それではどの属性魔法が使えるか調べていきまーす」
「あばばば痛ってぇ!なんか体の中からボキボキ音がしてる!!」
「ほらほら頑張れー」
・これ何してるの?めっちゃ痛そうなんだけど……
・涙出てる……相当痛いのか?
・もしくは握ってる手をめちゃくちゃな握力で握りつぶしているか。
えぇなになに……ふんふん。基本の四属性はクリア。派生も問題なく使えて………は?無属性も使えるとかこいつやばくね?
「ナチュラルボーン天才ちゃんかこいつ……」
「あがっ!?いてっ!!いててててて!!!」
俺が今まで出会ってきた人の中で、全属性魔法を生まれながらに使える人なんて、師匠くらいしか知らない。俺?俺は無理やり植え付けられたからノーカン。俺は元々氷しか使えなかったよ。
それはともかく、才能自体は異世界でも最強クラスの師匠程はあるということだな。なんだコイツ。これが創作物だったら余裕で主人公張れるスペックしてやがる。
「はーい。それじゃあ最後に痛いの来ますからねー」
「はっ!?いや、もう充分にいた──────」
最後の最後で、未だに覚醒していない魔力器官の蓋を、大量に魔力を流して強制的に外す。
「────ひぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「はい完了。さすが霧矢。大抵の人は気絶して何日もかけてやるんだぞこれ」
本人の意識が無いとこれ成功しないからな。何日も何日もかけて、やるんだ。優秀優秀。
・う、うわぁ………
・ドン引き……です
・魔法使えるなら……とは思ったが、これみたらやりたくねぇ
「か、体が死ぬほどいてぇ……全身が骨折してるみたいだ……」
「肉体にはなんの影響もないから安心しな。三十分で動けるようになる。それより、ステータス確認しな」
「ん……おう……お、おおおおお!!!」
・みるみるうちに死にかけの顔から生き返ってるな
・ということはやっぱり……?
「魔力キター!!!!いてぇぇぇぇ」
「急に動くからでござるよ!」
「落ち着け!」
「美作さん」
「なぁに?」
ようやく魔力が0から変動し、立ち上がった霧矢を直樹と浩紀が慌てて支えに行く。俺はその間に、こしょこしょと美作さんに耳打ち。
「────お願いします」
「お姉さんにおまかせだよ!は~い霧矢くん、ここどうぞ~」
「…………………」
・うわっ、一瞬で顔がスンッてなった
・ヌッ……この母性……惚れる!
・待て待て、片原勇者のこの反応……
・ま、まさか……てぇてぇなのか!?
正座をして、膝をぽんぼんとする美作さんに、動きが完全に停止した霧矢。ふむ、普通ならちょっとくらいは抵抗するかなと思ってはいたが、これは意外と………?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
霧矢:膝枕……?アッ、天井が半分しか見えない
朱里:可愛い~
各務:後方腕組キューピット面
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