二章 準最高難易度ダンジョン攻略RTA
第14話 お披露目配信
七月二日、午後三時。世界同時に震度3の地震が同時に発生した。それと同時に、女神の神託どうり、世界中の至る所に、『ダンジョン』と思わしき人工的な入口が発見される。
皇居でお披露目をした俺達『勇者』は、早速ダンジョンの攻略へと──────
「お、これ始まってんか?イエーイ、見えてるー?聞こえてるー?」
・問題なし
・今世に現れた勇者様。ノリが軽いわね……
・どことなく俺たちと同じ匂いを感じる……
・というか全員の顔面偏差値高すぎて震えてる
・政府公式アプリの配信だぞ。そんな適当でええんか
「ええやろ。やり方は任せるってキッシーから言われてるし」
────勤しむ訳ではなく、何故か首相であるキッシー改め、
政府がバックについて開発した、俺たち勇者のためのダンジョン配信アプリ『勇者ちゃんねる』。本来の用途は、俺達の安否確認を兼ねたり、ダンジョンの情報を集めるついでに、一般人の新たな娯楽要素としての配信アプリなのであるが、今回は別の使い方をする。
あんまり過激だと、従来のアプリだったらコンプライアンスに引っかかるからね。グロすぎて。
・そんで、結局何するの勇者様
・政府がわざわざツブヤキテーで宣伝するくらいだろ?
・というか誰?自己紹介とかしないの?
「自己紹介いる?」
・まぁ
・気になるっちゃ気になる
「ふむ……浩紀」
「なんでござろうか」
・ファッ!?wwwww
・ござる!?wwww
・格好からもしやと思ったがマジで忍者かよww
・というか、今向こうに居たのに一瞬でこっち来たな………
・シュン!って来たぞシュン!って
・この一連の流れだけで、とんでもないバケモンだと分かった
・適正検査落ちてなんでって思ってたけど、コレ見て納得しました。ワイには無理やわ
とりあえず、最初はおもしれーヤツ一択だろということで浩紀を呼んだ。レベルも上がり、異世界産の装備も上げたことで、益々忍者に磨きがかかった。
「なんか自己紹介してほしいみたいだから、向こうにも説明入れてきてくんない?その間に俺もやっとくわ」
「承知したでござる主殿」
「任せた」
・あwwるwwwじwwww
・【速報】勇者集団。思ってるよりもおもしれー軍団だと判明する
・こんなもん草不可避だろwwww
「まぁ勇者って言ってもこんなもんでしょ?というかコメ欄ネット用語使うやつ多くない?」
草不可避とか、ワイとかちょくちょくいるけど、もしかしてネット民しか見てないんかこれ。
・そもそも一般人はライブ配信見ない定期(偏見)
・そもそも一般人はライブ配信のノリが分からないのでは?
・そもそもコメントとか打たないでしょ
「普通に考えてそれどころじゃないのか……仕事してるかでしょ」
今平日だし、ダンジョン現れて一日目だしね。じゃあ今コメント打ってる人達は────あ。
・ん?なんか今そこはかとなくバカにされた気がする
・てめぇ誰がニートだって?
・誰も言ってない定期
「墓穴掘ったな」
あーあ。黙ってれば良かったのに。
「……と、話が脱線したな。自己紹介して欲しいんだっけ?俺は御神楽各務。二週間前に異世界行って勇者してた普通の一般人高校生18歳です」
・なんて?
・なんて?
・なんて?
・なんて?
・なんて?
んー、まぁそんな反応になるわな。
「別に、信じる信じないは当人判断だから任せるけど────ま、俺が日本にいるから日本は世界一安全だと思ってもいいぜ」
俺、最強だから。異世界の方でも、帰る前に勇者全員で総当りして俺がギリギリ全勝だったし、魔王もタイマンで俺がぶっ転がしたし。死ぬ一歩手前だったけど。
・いやいやいやいや
・急にそんなことぶっ込まれても……その、困る
・異世界?トラック転移でもしたんか?
・いくらあのお披露目式の目から紋章飛び出るのは、パッと見でも特別なんやろな~とは思うが
・予想外の斜め上すぎてなんも言えんのよ
・常日頃から異世界行きてぇ~とは思っているが、実際いたら反応困るな
・なにか証拠とかある?
「異世界産の武器とか見る?剣から炎湧き上がるヤツあるよ」
無限の武器庫にアクセスし、該当する武器が青色の波紋から出てくる。
えっと、こいつは………あぁ、魔力流したら炎出るやつか。似たようなの多すぎてパッと見じゃ分かんねぇわ。
・AUO!?
・色が違うだけでまんまゲート〇ブバビロンじゃねぇか!?
・うわっ!本当に炎出た!
・オタク心を凄い分かってんなこの勇者……
・ママー!あれほしー!
・AUOが許してくれたらねぇ~
「いや、ごめんけどダメだよ?それに、確かこれ切れ味もそんな無いし、炎の出力も見掛け倒しでそんなにないから、地面にぶっ刺して焚き火代わりに使うしか使い道がなくてな……」
・ただのキャンプ用具じゃねーか!
・ママー!やっぱいらなーい!
・わたしもいらなーい
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