第12話 強化合宿

 その後、ケツを蹴りながら霧矢に頑張って女性を起こさせること二分。ようやく彼女の目が覚める。


 美作朱里みまさかあかりさんというらしい。見た目以上に、おっとりとしてておおらかな人だ。ますます霧矢のストライクゾーンに引っ掛かってきたな。


 その日は、用意された部屋の確認と、天皇である明久様との会食を経て就寝となった。明確に起きる時間は決められてはいないのだが、全員で9時には起きて、10時には訓練が開始できるようにしようと決めあった。


 そして翌日。集合場所に指定された、皇居の一角である皇居外苑えとやってきた。ここは、自衛隊の人達や、俺たちが主に使う訓練スペースとして、一時的にベースキャンプが敷かれている。


「すまんな御神楽。昨日のお前の提案だが、上がどうもお前の実力をまだまだ疑っているらしくてな……」


「あちゃー……そう来ましたか」


 須貝さん達と合流すると、開口そう伝えられる。須貝さんを圧倒した霧矢ならまだしも……と思われているかもしれない。


「一先ず、お前の実力を動画に撮らせてくれないか?それを上に提出すれば、納得するだろう」


「わかりました。それじゃあ一割出します」


 首をポキポキ鳴らして軽く体の調子を整える。相手は、俺の最高戦力である五人。


「二分だけ時間をやる────」


 魔眼を発動させ、この前霧矢とゆかりに見せた時以上の大きさの紋章を顕現させる。


「────全力でかかってこい。でないと、実力を発揮する前に終わるぞ」


「────まいるでござる!!」


 初手は、金髪ニンジャこと浩紀。彼のスキルは、『忍術』という血筋からスキルまでマジモンな忍者となった彼の武器は、その汎用さ。


 服部半蔵の子孫であるという彼は、祖先に憧れ幼い頃から運動神経を高めるために色々な事をやっていたということなので、純粋に全てのステータスが高い。


 分身の術、口寄せの術、身代わりの術、エトセトラエトセトラ。ぶっちゃけもはやNA〇UTOの世界観に近いものを感じたが、潜在能力はぶっちぎりだ。


 三本。クナイ(に見立てた木の枝)が飛んでくる。一本目を左右のどちらかに避けても、同時にくる二、三本目にあたるという算段だろう。大人しくしゃがんで回避。


「行くぞ!!」


 そして、純粋にこの中だと一番強い霧矢との連携。彼らの勝利条件は、二分間避け続ける俺に一撃でもいいから攻撃を当てること。事前に、彼らには全力でぶつかってくるように──ゆかりはしぶっていたが、この後二人で外苑を歩き回ることを約束した──口酸っぱく言ったので、当然霧矢の手には、俺が渡した五本のうちの二本が握られている。


「今のうちにストレス発散!!」


「……当たってないから発散にはならんと思うぞ」


「いつも振る前に止めるじゃん!こうして振れるだけで結構嬉しいんだから!」


 それはそう。体を右へ左へと捻りながら、霧矢の連撃を躱していく。その間を狙い、霧矢の陰から浩紀が手裏剣(折り紙)を飛ばしてくるが、見えていたので顔だけ逸らして最小限の動きで躱す。


「むぅ……分かってはいたでござるが、こうも簡単でござるか……美作殿!」


「おっけ~!」


 間延びした声が聞こえた瞬間、一瞬だけ身体が重くなる。


 美作さん(霧矢の強い希望で名字呼び。俺より先に名前で呼ぶなとの事)のスキルは、『重力制御』というかなり強力なスキルだ。俺はこの程度だったら特にパフォーマンスが落ちるのことはないが、霧矢クラスだったら、普通に動きを阻害させることが可能だ。


「いくぜ各務!」


 実力を見るため、若干動きを遅くしてから直樹と立ち合う。彼の腕には、俺の無限の武器庫から貸出中のハルバードが握られている。どうやら、適正検査でどっぷり長物武器にハマってしまったらしい。


 構え方からして横振り。俺の動きを見てからどう追撃しようかと横で霧矢が様子見する中、濡れ羽色が見えた。


 きちんと教えたことを実行できているようで何より。上手く隠れていたゆかりに内心で拍手を送りながら、後ろへ大きくジャンプ。


「忍法────影縫いの術!」


「むむむ~~!!」


「むっ……」


 着地した瞬間、視界の端で印を組んでいた浩紀と、何やら気合いを込めていた美作さんの合わせ技により、明確に身体が止まる。


「結構強力だな。スキル忍者……思っていたよりも汎用性がありすぎる」


 重力制御と、影縫いで一瞬とはいえ俺を止めたのは純粋に凄い………いやマジで凄いな!


「ハァ!!」


「チャンスだ!行くぞ直樹!!」


 二人は、ここが勝負所と思い、俺に向かって突撃してくる。ゆかりも、姿を隠さないでいいとと思ったのか、普通に出てきた。


 だけど、ちょっと遅かったかな。


「残念────二分経過だ」


「どわっ!」


「うおっ!?」


「キャッ!!」


 一撃入れるチャンスではあったが、俺が無抵抗でいる二分は終わってしまった。体から魔力を勢いよく噴出させ、その余波だけで三人を吹き飛ばす。


「大体の実力は把握した。今回は残念だったが、近いうちに俺に一撃入れれるくらいには強くなるだろう」


「おまっ……マジか……」


「浮い……てる……?」


 ポケットに手を突っ込みながら、魔法でゆっくりと空に上昇する。ここからは、俺の実力の一部を見せる番だ。


「開け、時空の扉」


 本来は詠唱なんて必要ないが、演出のためなんかそれっぽいことを言っておく。俺の背後から、青色の波紋が空気中に浮かび上がる。


 これは、無限の武器庫と直接繋がっており、この波紋から直接武器が射出される。


 つまり、80パーセントくらいAUOなのである。違いと言えば、武器一つ一つが宝具レベルではないというだけ。少しくらいはあるけど。


 今回射出するのは、勿論剣ではない。それをしたら危なすぎるし……ほら、皇居の敷地内だし、何かあったら怖い。


 とのことなので、これで代用した。


「ピ……ピコピコハンマー!!??」


 ────殺傷力ゼロの最強玩具。ピコピコハンマーである。



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やっぱ俺戦闘シーン書くの下手すぎるな???

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