第2話 ステータス確認

 三日前のあんな出来事もあり、暫くは様子見ということで学校も半日で終わり、俺と霧矢は帰路についていた。


「いーなーいーなー。俺もそんなオシャな紋章が出る魔眼欲しー」


「頑張れば適当に生えてくるぞ」


 シランケド。でも俺は勝手に生えてたから大丈夫だろ。多分、きっと、メイビー。


 朝、霧矢に見せたものは、俺の『勇者』としての力の一部である、発動すると目の色が変わり、そこからオーラと紋章が吹き出るドチャクソオシャレな魔眼である。


 効果としては、俺が異世界にて『氷の勇者』として名を馳せる要因となった、『氷魔法』の威力増幅、使用魔力低減などなど、魔法に対して強いバフがかかる。


「マ?俺も魔法使えるようになりてーなー」


「霧矢はスキル持ってるのか?」


「おん。というか、SNSの情報によると、誰しも一つは貰えるらしいぞ」


「教えて貰っても?」


「おかのした」


 カバンからメモ帳とボールペンを取り出した霧矢は、所々虚空をちらりと見ながらサラサラっとペンを動かす。


 ……あのステータス画面は、自分にしか見えないみたいだな。


「ほれ」


「さんきゅー」


 渡してくれた紙にサラーっと目を通す。


 名前:片原霧矢

 種族:人間

 レベル:1

 攻撃:3

 防御:5

 魔力:0

 知力:4

 耐性:2

 素早さ:4

 スキル:双剣術Lv1


 …………なんこれ。俺のステータス画面と表示の仕方全然違うんだけど。というか双剣術?珍しいもの貰ってんな。


 あれか?こいつ初めて見たアニメ、ソ○ドア○ト・オンラインだからか。キリ○くんに憧れるお年頃だったからね。


「どうよ?異世界帰還者からしてみれば」


「いや分からんが?他の人と比べてみないとそこら辺はなんとも言えないな」


 このメモ用紙見てみたら、俺のステータス画面だいぶ端折られてる。俺ももうちょっと詳しい情報が知りたかったよ。


 特にスキル欄。いっぱいありすぎて分かりません!じゃないんですわ。


「あれ、各務と比べたらの話だったんだが」


「ほい」


 貰ったメモ用紙の裏に、表示されてる原文のまま書き写してから霧矢へと渡す。


「……んー……んー?………んーーーーー??」


 SNSでたまに流行る某はちみつ大好きな黄色のクマが紙をのぞき込む感じの反応をする。


「……バグってね?」


「俺が規格外なことは充分俺が知ってるが………さすがにこれはなぁ」


 種族のとこ???って何。いやまぁ心当たりはあるっちゃあるんだが。


「まぁいいや。とりあえずさ、お前どうするのこれから」


「そりゃもちろん、行ってみてぇよなダンジョン!近々、政府が一般人からも希望者を集めるみたいだし!」


 俺のスターバース○ストリームが火を吹くぜ!なんて言いながら剣を振る真似をする。危ないからやめなさい。


「ふぅん?所でこの後暇?暇だな?よし、じゃあそのまま俺ん家こい」


「え、聞いておいて拒否権なし?悪いけど、焼け石に水かもしれんが、少しでも特訓してステータスを伸ばした────」


「武器、要らんの?」


「何呑気に歩いてんだ!早く各務ん家にいくぞ!!」


「草」


 俺、お前のそういうとこ好きだよ。






 その後、走り出したはいいものの、直ぐに息切れした霧矢の首根っこを掴みながら帰宅。両親は海外に出張中なため、家の中には誰もいない。


 ────異世界から帰還したあと、俺はこの家を色々と改造を施した。


 もちろん、外からでは分からないようになっているし、ぶっちゃけ家と言っても俺の部屋だけである。


 例えばだが、俺と霧矢の前にあるクローゼット。この扉を開けたら、これから霧矢に渡す予定の武器庫へと繋がる。


「……な、なんかソワソワしてきた」


「中入ってから、腰抜かすなよ」


 引き戸式のドアを開ける。すると、遮断されていた光が漏れ、中が顕になった。


「…………………は?」


「ようこそ。俺の『無限の武器庫』へ」


 無限の武器庫。異世界で俺だけが持っていた能力である。


 この中には、俺が異世界での旅を通して手に入れた武器が文字通り無限にある。


 人づてに貰ったもの、なにかの報酬として貰ったもの、そこら辺に刺さっていたから抜いて置いたものなどなど、本当に数え切れないほどびっしりとこの中に保管されてある。


 なお、当初はこの能力にカッコイイ横文字の技名を付けようとしていたが、なんにも思いつかなかったし、普通に無限の武器庫のままでもかっこええな、となったのは内緒である。



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