第5話 恋

 最近、バイトの後輩――南くんと肌を重ねた。

 年下の男の子とエッチすんの初めてだから、なんか緊張したよ。

 私、年上としかシたことないからね……。


 今まで付き合ってきた年上の元彼は、全員俺様系の性格だった。

 いつも自分の自慢話ばっかりで、全然アタシの話聞いてくれない。


 エッチも自己中心的で、自分が気持ちよくなることしか考えてない。

 あと、平気で浮気するし……。

 私、今までクズ男としか付き合ってこなかったんだよね。

 ほんと見る目ないな、私……。 


 クズな男としか関わったことなかったから、南くんと出会ったときはビックリしたよ。

 彼は自分に自信がないタイプだから、今まで付き合ってきた元彼のような自慢話はしてこない。

 それどころか、いつもネガティブな発言ばっかりなんだよね。


 南くんはもうちょっと自分に自信持った方がいいよ。

 そしたら、絶対モテるのに。

 いや、南くんがモテたら私が困るんですけど……。

 恋のライバルが増えたら面倒だし。


 さっきも言ったけど、私が今まで付き合ってきた元カレは自己中心的だ。

 私の話全然聞いてくれないし。

 けどね、けどね。南くんは私の話ちゃんと聞いてくれる。


 彼、相槌を打つタイミング絶妙だし、人の話を引き出すの上手いから、ついつい色んなこと話しちゃうの。

 私の方が年上なのに、いつも彼に相談しちゃうんだよね。

 

 私が悩みを打ち明けても南くんは『こうした方がいいんじゃない?』とアドバイスしてこない。

 けど私の悩みに共感してくれる。

 彼に共感されるのが心地よくて、辛いときはいつも彼に弱みを見せちゃう。


 あと、南くんの顔チョーどストライクなの。

 めっちゃ好き。

 あの顔見てるだけで胸がドキドキする。


 自然と南くんのこと好きになった私は、たくさんアピールしたよ。

 一緒にデートしたり、バイト帰りに居酒屋で飲んだり、わざとおっぱい押し付けたり。

 たくさんアピールして、遂に彼と大人の関係になった。

 

 ホテルでエッチしたの。

 あのときはベロベロに酔いすぎて、気づいたら南くんのこと襲ってたんだよね。


 南くん、絶対私のことビッチと思ってるよね。

 それは嫌だな……。

 まぁ確かに、経験は豊富だけどさ……。

 けどこう見えて私、結構一途だよ?

 浮気とかしたことないし。 

 浮気されまくったことはあるけど……。


『ねぇ、これとかどう?』

『……くっ、それまじでヤバいって……。先輩、そんなテクニックどこで覚えたの?』

『ネットだよ』

『絶対嘘だ。元彼に仕込まれたの?』

『……まぁそんな感じかな。ねぇそれよりこれはどう? 痛い?』

『ううん、全然痛くないよ。めっちゃ気持ちいい』

『ふふっ、でしょでしょ。私、これ得意だからね。もっとしてあげる』


 あの時の南くん可愛かったなぁ。

 私が攻める度に、女の子みたいな声出してくれるの。

 気持ちよさそうな南くん見てると、私まで嬉しい気持ちになっちゃう。

 

 行為が終わったあと、アタシたちはお風呂場に移動した。

 お互いの身体を洗いながらキスする。


 南くんのキス、ちょっとぎこちなくて可愛い。

 こういうことあまりしたことないんだろうな。

 もしかして童貞だったのかな……?

 いや、それはないか。


 気づいたら疑問を投げかけていた。


『南くんはいつ童貞卒業したの?』

『え? さっきですけど』

『……』


 さっき?

 それって……。


『もしかして、初めての相手って私?』

『はい、そうですよ』

『……』


 ちょっと待って。嘘でしょ?

 南くん、数時間前まで童貞だったの?


 私が初めてで良かったのかな……?


 なんてことを思っていると、南くんが急にアタシのお尻を触ってきた。


『きゃっ……急にどしたの?』

『先輩の身体見てたらムラムラが止まらなくて……先輩、もう一回いいですか?』

『さっき2回もシたじゃん……まだ満足してないの?』

『2回じゃ満足できないですよ。あと3回はしたいです』

『……』


 さっき連続で2回もエッチしたのに、まだできるんだ……。

 南くん、絶倫すぎるよ。


 まぁいっか、私も満足してなかったし。


 私はお風呂場の壁に手をつけて、南くんにお尻を向ける。


『南くん、いいよ。きて……』

『先輩っ……』


 結局、このあと連続で3回も求められた。

 流石に疲れたよ。

 南くん、性欲強すぎるって……。


 あっ、そういえば南くんに告白すんの忘れてた……。

 どうしよう……。

 今から告白しようかな?


 って、南くんもう寝てるじゃん。

 

 本当はエッチしたあと、流れで告白するつもりだったのに。

 仕方ない、告白はまた今度だね。

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