トリあえずの隠し場所
かなたろー
トリあえずの隠し場所
皆様は「ヒマチー」なるものをご存知だろうか?
ワンちゃんを飼っている方ならご存知かもしれませんね。
正式名称は「ヒマラヤチーズ」。
ヒマラヤのヤクのミルクでつくられた、犬用のめっちゃ硬いチーズで、歯磨きガムのようなデンタルトイに位置付けられています。
考案者は日本人で、「ヒマラヤチーズ」と「ヒマチー」は、商標登録をされています。
http://www.himalayacheese.com/about/index.html
我が家の愛犬、フレンチブルドッグのハッサクにも3月10日のお誕生日にプレゼントをしたところ、大いに気に入ったらしく、さっきから私の横でずっとガジガジとかじっている。
彼女の宝物だ。
このヒマチー、とにかくめっちゃ硬くて、とてもワンちゃんが1日で食べられるような代物ではない。
さっきまで一生懸命かじっていたハッサクも、今はヒマチーくわえて、リビングをウロウロとさまよっている。
宝物を誰にも取られないように、秘密の場所に隠すためだ。
とはいえ、我が家は3階建ての狭小住宅。せまいせまいリビングで、直径20センチほどの宝物を隠すなんてとてもじゃないが不可能だ。
ハッサクは、迷いに迷って、トリあえず掃除機を立てかけている部屋の隅っこに置くのだけれども、宝物のヒマチーが丸見えのモロみえだ。
宝物を完全に隠し切ったと思っている、我が愛犬ハッサクは、
「ブヒブヒ!」
と、鼻息荒く自慢げだ。
そんな姿を見ていると、いたずら心がむくむくと湧き上がってくる。
私は、ハッサクが隠したヒマチーを手に取ると、
「あれあれ? こんなところに美味しそうなオヤツがあるぞ??
食べちゃおっかなー??」
と、口をぱくぱくさせて食べるふりをする。
「ふーんふーん」
ハッサクはこの世の終わりのような顔をして、ヒマチーをじっと見つめている。
「ごめんごめん。これはハッちゃんの宝物だよね」
そう言いながらヒマチーをリビングの床に置くと、ハッサクは大急ぎでヒマチーをくわえて、新たな隠し場所を探し求める。
そして再び、ハッサクは丸見えのモロ見えの場所に、宝物を置いて、
「ブヒブヒ!」
と、自慢げに鼻息をあげるのだ。
トリあえずの隠し場所 かなたろー @kanataro_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます