第31話 初めてのネイルサロン
今を時めくポップスター、オリヴィアロドリゴのコンサートに、娘が行ってまいりました。チケットが手に入らなくて一時は諦めていたのですが、娘のお友達のお母様(仮にジェーンさんとします)が4枚ゲットしていたので、彼女が11〜12歳の女の子3人を引率して連れてってくれました。ありがたや。
オリヴィアロドリゴ、ご存じない読者さまはググってみてくださいませ〜。とっっても美しくて歌唱力の高い女性です。MVでは、けっこうスレた演出もされるんですが、素ではとても真面目そうなところもポイント高いです。
娘は、コンサート当日の何ヶ月も前から、その日を指折り数えて楽しみにしていました。一緒に行った女の子3人で、数週間前から、当日どんな格好をするか相談し、クラスメイトから服を借りたり、ビーズでお揃いのブレスレットを作ったり(流行っているらしい)、アルバムの歌詞を全部覚えたりと、準備段階からキャーキャーと楽しそうでした。
さて、当日会場に向かってみたら、なんとジェーンさんの買ったチケットが、彼女の知らないうちに転売されていることがわかりました! ハッカーがジェーンさんのアカウントに侵入し、オンラインで転売していたそうです。
会場側は、転売されたチケットをもともと買った人に返却したり、盗まれたチケット分の被害額を返金したりできないんですよね……。
被害者が複数いたらしく、被害に合った人が当日買える席が用意されていました。何ヶ月も前からこのイベントを楽しみにしていた女の子3人の前で、ジェーンさんの選択肢はただ一つ。その場でまた4枚、チケットを買いました。
ジェーンさんが当日会場で買えたチケットは、もともと買っていたチケットよりも5000円ほど値段が高く、4枚で約8万円。一般市民にはヒィってなる金額です。
もともと買った分のチケット代は、チケットを販売した会社から返金されるという話なのですが、こういうのって、返ってくるまで安心できませんよね。
あの瞬間のジェーンさんのストレスを思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、えいやっとチケットを買ったジェーンさんの英断に心から感謝しています(ちなみに、チケット代などの費用はもちろん割り勘です)。
いやーでも、びっくりしましたよ。チケットがハッキングされて転売されるなんて、あるんですねぇ。恐ろしや。
怪我の功名というか、当日買えた席が一等席でした。事前に買っていたら、チケットの値段がさらに2倍はしていたと思います。
オリビアさんがワイヤーで吊るされた三日月に乗り、娘たちに近づいて(一等席なので、手が届きそうなくらい近い)、片手でハートの形を作ってニッコリ微笑みかけるというシーンを、ジェーンさんがバッチリスマホで撮ってくださいました。
女の子3人が「きゃああああああ!!」と叫びながら悶絶しておりました(笑)。本当に本当にいい経験になったと思います。私まで動画を観ながら「きゃあああ!」ってなりました。
娘がコンサートから帰ってからというもの、毎日のようにあの時の感動を聞かされております。こういう感動って、いいですよね〜。
さて、ここへきて表題の話です。娘が数年前から「ネイルサロンでネイルをやってみたい」と言っておりまして。私は「いつかね〜」とずっと流していました。私自身は、ネイルサロンへ入ったことが一度もありませんでした。
コンサートが近づいたある日、突発的に「ネイル、やってみるか」という気持ちになりました。自分がやったことないので、どんなもんだろう、と興味がわいたのと、娘の大事なコンサート、ネイルもやったら嬉しいだろうなと思いまして。
よく知らないんですけど、ネルジェルとか、フェイクネイルとか、自分のもともとの爪がダメージ受けそうなネイルはイヤだったので、娘はマニキュア、私はペディキュアをやっていただきました。
赤の他人に足を触ってもらう、というのは不思議な感覚でした。マッサージをしてもらったり、美容院で髪を切ってもらう時にも思うのですが、こういうサービスって、お互いに「相手が自分に危害を加えない」という、絶対的な信頼がないと受けられないですよね。
特に男性が理容院でやる髭剃りなんか、ヒヤッとします。刃物を首に当てられるわけですからね〜。
車を運転している時も、「運転をしている人全員が、ルールを守って走っている」と信じていないと、運転なんてできないよなぁと思います。対向車線に入って逆走してみたり、歩道に突っ込んだり、誰だってできます。でも「誰もそんなんことはしない」という前提で社会は回っているのですよね。
今まで会ったこともない人に足を預けるなんて、むちゃくちゃ無防備な気持ちになりました。ペディキュアをしてくださった方は英語が苦手で、身振り手振りで「足をここへ置いて」とか「お湯につけて」とか、指示を出してくださり、勝手のわからない私がオタオタと言われるままに体を動かしました。
終始ドキドキしっぱなしで、リラックスとはほど遠い体験でしたが、とってもキレイに仕上げてもらいました。自分でやるとこうはいかないです。また行きたいかと言われると、そうでもないんですけどね(笑)。まあ、何事も初体験というのは興味深いですね〜。
医者へ行けば、そのお医者さんはちゃんと免許を持っていると信用しますし、学校は子どもたちを預けても安心だと信頼しています。美容師さんはハサミで体を傷つけることはないし、ネイリストは肌や爪を丁寧に扱ってくれる、そう信じてサービスを受けます。
お互いへの絶対的な信頼があるから、社会は回っているのだなぁと思いを馳せた初ネイルサロンでした。
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