第9話 お誕生日会

 オーストラリアでは、よくお誕生日会をやります。子どものお誕生日会はもちろんですが、大人も結構やります。


 特に、三十歳、四十歳、五十歳……などの節目の年には、本人自らパーティーを主催することが珍しくありません。


 先月、ママ友の五十歳のお誕生日パーティーにお呼ばれしたのですが、近所のパブの外スペースを貸し切って、大人と子ども合わせて百人くらい呼んで、盛大にやってました。おいしい食べ物とお酒をふるまってもらって、親しい人もたくさんいたので、普段はパーティーが苦手な私も、この時は本当に楽しかったです。


 このパーティーに触発されたのか、夫も自分の誕生日パーティーを開くと言い出しまして。ぜんっぜん節目じゃなくて、四十二歳の誕生日だったんですけど、「最近ずっとパーティーとかやってないし。リノベもちょうど終わったし、犬も飼ったし、みんな家に呼びたい」とな。


 お家パーティーは接待が疲れるからめんどくせぇな、と内心思ったんですが、たまにはいっか、とやることにしました。ということで、先週の土曜日は夫のお誕生日会でした。


 ふと気がつけば、夫は大人を三十人くらい招待していて「子どもも犬も連れてきていいよ」と。


 待て待て待て待て! ウチはオーストラリアの家にしてはかなり小さいほうなんです。いくらなんでも、そんなに呼んだら酸欠になるぞ、と思って抗議したら、


「大丈夫。こういうのって、招待した人数の半分くらいしか来ないから」と夫。しかし数日のうちにほとんどの人が「絶対行く〜」的な返事をしてきました。たぶん、年末とかじゃないからみんなタイミングよく暇だったのだと思います。


「あのスペースに犬まで招待して大丈夫?」と心配してくれたのは、ウチの間取りを知ってるご近所のママ友。やっぱり犬はやめとこう、カオスすぎる、と犬は呼ばないことにしました。


 オーストラリアでパーティーがある時、特にホームパーティーは、ちょっと遅れて行くのがマナーです。最低十分は遅れて行ったほうがいいのですが、だいたい最初の三十分は誰も来ません。


 午後二時から開始しましたが、最初の参加者が現れたのは午後三時近くになってからでした。こんな時「もしかして誰も来なかったらどうしよう」と私は毎回ドキドキするんですが、夫は慣れたものでのんびりしてました。


 午後早く来て夕方帰って行った人たちもいれば、夕方から参加して夜までいた人たちもいたり、いろんな人がバラバラの時間に来ては帰って行きました。オーストラリアではあるあるです。


 結局、大人三十人、子ども十五人くらい来てくれて、せまい我が家のリビングや裏庭でわちゃわちゃ過ごしました。


 食べ物は、スーパーで買ってきたものをオーブンで焼いただけ、とか、切っただけ、とか。洗い物が出ないように紙皿に紙コップ。お酒だけはけっこう用意してたのですが、多くの人が自分が飲む分とプレゼント用にお酒を持ってきてくれたので、用意してた以上にもらっちゃいました。


 お誕生日ケーキは娘が焼いてくれて、なかなかの出来でしたよ。とまあ、そんな感じで、かなり適当で低予算のパーティーでした。オーストラリアではこういうカジュアルなパーティー、多いです。もちろん、リムジン貸し切ったりとか、ゴージャスなパーティーもありますけれど。


 そういえば、子どもたちが呼ばれるパーティーも、小さな映画館貸し切ったり、フットサルの会場でプロのコーチを呼んだり、かなり趣向の凝ったものがあります。


 すごいなーと思う反面、たのむからハードルを上げんでくれよ、と親に対して思います(笑)。「公園で遊ぶ」みたいなパーティーがあると、ホッとします。


 夫の高校時代からの旧友からご近所のママ・パパ友、昔の同僚など、いろんな人たちが集まって、普段は接点のない人たちが同じ空間を共有して仲良くなったりして、おもしろかったです。二歳児から七十代まで年齢も様々(同世代=中年が一番多かったですけど)、人種も国籍も多様な集まりになりました。


 パーティーで初対面の人とちょっとした世間話をするのが苦手なんですが、仕事で接待をすることが多かったパパ友さんに、コツを教わりました。いわく「みんな、自分の話をするのが好きだから、相手が答えやすい質問のパターンをいくつか覚えとくといいよ。おもしろい話ができる人よりも、自分の話をおもしろいと思って聞いてくれる人のほうが、案外好まれるんだよね」と。


 なんて実用的なアドバイス! この方、普段は物静かな印象の人なので、かえって信憑性がありました。今後の参考に覚えておこうと思います。


 みなさま、パーティー好きですか?

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