第6話 犬を飼う意外なメリット

「犬を飼っているかどうか」は、その人が長生きするかどうかの良い指標になるそうです。なんでも、「伴侶・子ども・友だちがいるか」よりもはるかに、「犬を飼っているか」のほうが、長寿の指標として当てになるらしい……と、どっかの生命保険会社のリサーチに書いてあったのを、夫からまた聞きしました(というわけで、この説の真偽のほどは不明ですw)。


 ものすごく乱暴にまとめると、「犬を飼うと長生きしやすい」ってことですね!


 個人的には、この説にはとても説得力があります。犬を初めて飼ってからというもの、家族みんなが笑顔になる時間が増えて、メンタルヘルスにすごくいい感じがしますし、散歩をするので自然に体を動かす機会が増えました。


 自宅から歩いて五分ほどのところにドッグランがあるのですが、そこでいろんなワンちゃんと飼い主さんたちと出会います。


 先日、ペッパちゃんという大型犬に会ったのですが、その飼い主さんと少しおしゃべりしました。


 推定六十代の紳士は、ペッパちゃんとはシェルターで出会ったのだと教えてくれました。


 ペッパちゃんは飼い主に置き去りにされ、人のいなくなった家で、何日も飼い主を待っていましたが、空腹に耐えかねて、家を逃げ出したところを保護されたそうです。


 シェルターで出会った頃のペッパちゃんは、ガリガリに痩せていて、ビクビクと怯えて、シェルターの飼育員も手を焼いていたのだとおっしゃいました。


 それにも関わらず、この紳士はペッパちゃんと目が合ったときに「この犬は僕が引き取ろう」とピンときたそうです。


 驚くべきことに、この男性は以前に犬を飼ったことが一度もありませんでした。全くの未経験ながら、トラウマを抱えた成犬(推定七歳でした)を保護するのは大変なことです。


 実際、最初の三ヶ月は大変で、散歩をしようにも、リードを付けさせてくれなかったり、家具を端から噛んでダメにしてしまったり……。犬のトレーナーさんと相談しながら、ペッパちゃんの心が開くようにリハビリをがんばったそうです。


「僕が犯した一番大きな間違いは、ペッパと良い関係を築くよりも前に、ペッパに言うことを聞かせようとしたこと。最初に信頼関係を築くのが本当に大切なんだよ。

 そのことに気づいてからは、ペッパをたくさん撫でてあげて、一緒の部屋で寝て、ペッパが僕と一緒にいて安心できることを最優先したんだ。そうしているうちに、すっかり元気になって、体重も引き取った時より10キロも増えたよ」


 そう語る飼い主さんの顔は、ペッパちゃんがかわいくてたまらない様子でした。ペッパちゃんはペッパちゃんで、とても無邪気で可愛らしい……っていうか、40キロはありそうなスタッフィーなので、大男でも倒せそうなくらいいかつい印象なんですけど(笑)、幸せそうでした。


 この一人と一匹の深い絆で結ばれた様子を見ていると、この方は六十代になって、なぜ初めて犬を飼おうと思ったのかな……という疑問がわきました。大事な方を亡くされたのかなぁ、なんて勝手に想像してしまいます。


 もしかしたら、ペッパちゃんがこの優しい飼い主さんを必要としていたのと同じくらい、彼もペッパちゃんに救われたのかもしれないな、なんて思いました。全くの憶測ですが。


 ペッパちゃんも飼い主さんも長生きして、末長く幸せに暮らされるといいなと思います。


追記:犬を飼ってからというもの、話題が犬ばっかりになってますね(笑)。次回は犬以外の話題にします。

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