第3話 能力
俺の家に到着しとりあえず俺は4人分の飲み物を用意することにした。
「3人ともお茶でいいか?」
「コーラは無いの?」
歩はコーラが飲みたいらしいが俺はジュースをあまり飲まないので生憎家には常駐していない。
「無い」
短くそういうと歩は少しがっかりしていた。
お茶をコップに注ぎ皆が座っているテーブルに一つずつ置き俺も自分の席に座った。
「とりあえず状況の確認からだな」
俺が座ったのを確認し勇人は早速話し合いを始める。
「皆はどの程度今の状況を理解している?」
「とりあえずはルールと能力の詳細は理解できたつもりだ」
「僕もそのくらいかな」
どうやら晴翔も俺と同じくらいの理解度らしい。
「俺もだ。歩はどのくらい理解している?」
「ルールはほとんど読んでない。けど、能力の詳細はちゃんと読んだよ」
歩は俺たちに比べたらあまり現状を理解していないらしい。
そんな歩を見て勇人は少し呆れていたが気にせず話を進める。
「俺がルールを読んで気になったのはまずptの存在だ。俺が今持っているptは0ptだが皆も0ptか?」
「俺も0pt」
歩が元気よく答えたので俺は肯定の意味も込めて首を縦に振った。
「ルールにも書いてあるがこのptがおそらくこのゲームをクリアするのにかなり重要になってくるはずだ。」
「そうだね、特にルールにも書いてあるように武器の購入はもちろん情報の購入ってのが気になるかな」
「それとここからが重要なんだがこの4人の中だけなら能力を教えあった方がいいと思うんだが皆はどう思う」
「僕は賛成かな。どうせこの4人で協力してゲームクリアするつもりだし」
「俺も賛成だ。能力を教えあった方が連携を取りやすい」
「俺も賛成。てか、なんで能力を教えあうのにそんなに抵抗があるの?」
歩は能力を明かすデメリットをあまり理解できていないようだ。
仕方がない、ここは俺が説明するとしよう。
「これから起こるゲームの内容は分からないけど、例えば俺と歩で能力を使った殺し合いがテーマのゲームをしなければならないとする。それで俺は歩の能力を知っているが歩は俺の能力を知らない、そんな状況で歩は俺に勝てると思うか?」
「なるほど、能力によるだろうけどかなり不利だね」
歩は俺の説明を理解することが出来たらしく満足げな顔をしていた。
「それで歩はこの話を聞いて能力を教え合うのに賛成なのか?」
俺は確認の意味も込めて歩に聞いてみる。
「皆なら信用できるし暁の言う通り俺たちの連携にもつながるし能力を教えあうのはいい考えだと思う」
全員の意見が一致したことにより発案者の勇人から能力が明かされていく。
「俺の能力は姿を消す能力だ。」
そういうと勇人は姿を消して見せた。
「おーすげー」
歩は目の前で勇人の姿が消えたことに対して興奮しているようだった。
「勇人、俺に振れてみてくれ」
そういうと勇人の分かったという声が聞こえて数秒後俺の腕がつかまれている感覚があった。
「なるほど、姿は消せても実態はあるという事か。」
俺は自分が思ったことを口にする。
勇人が姿を消して数分後、能力を解除して再び姿を現した。
俺は勇人の姿を見て少し息が上がっているように感じた。
「もしかして、能力の発動中はかなり体力を使うんじゃないか?」
「いや、体力というか精神力を使っている感じだ」
なるほど、体力的な疲れではなく精神力をエネルギーとして能力を発動しているのか。
「じゃあ次は僕だね。僕の能力は物質の硬度を変える能力だ」
晴翔はそういうと俺が用意したお茶に手をかざして能力を発動させた。
お茶を見てみると色に変化はないが固体になっていることは分かる。
歩がそれを見てコップをひっくり返すとコップの中の個体がテーブルの上に落ちた。
「暁、能力を解いてもいい?」
晴翔は冗談めかした声で俺に聞いてくる。
「やめてくれ」
今晴翔が能力を解いたらテーブルが大惨事になってしまう。
テーブルに落ちた個体を再びコップの中に入れると晴翔は能力を解いた。
するとさっきまで個体だったお茶が再び液体に戻った。
「その能力は個体を液体にすることは出来るのか?」
勇人は晴翔の能力のことをさらに詳しく知るために質問した。
「分からないけど多分出来そう。暁何か壊していいものない?」
晴翔も自分の能力の詳細を知りたいのか俺に家にある個体で壊していいものを要求してきた。
俺も晴翔の能力がどの程度役に立つかを分析したいこともあり使わなくなったPCを提供することにした。
晴翔はそのPCを早速液体にした。
PCはドロッとした液体になり元の形が失われた。
なるほど、個体から液体にするときは物質によるだろうが少しだけ粘性を持つのか。
晴翔はそれを見て能力を使いPCを個体に戻したが液体の時の形のまま個体になりPCは再起不能になってしまった。
「なるほど、かなり便利な能力だな」
勇人は晴翔の能力を見て感心していた。
確かに使い方によってはかなり強力な能力といえるだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます