第1話 日常の崩壊

少し肌寒くなってきた今日この頃俺はいつも通り自分の席で授業を受けていた。


チャイムが鳴り授業の終わりの挨拶を終えるとすぐに数名が近づいてくる気配を感じた。


「暁、今日皆で勇人の家でゲームをするんだけどお前も来る?」


俺に近づいて来た気配の正体は矢野勇人、星月歩、原晴翔の3人だった。


こいつらは少し前に出来た友達で俺をぼっちから救ってくれたいわば救世主だ。


別に一人が嫌いとかそういう事ではなくて、一人と思われることに俺は抵抗があるようだ。


俺はあまりゲームに興味はないがせっかく誘ってたのを断るのも悪いと思い彼らと一緒にゲームをすることに決めた。


「もちろん、俺も参加させてもらう」


俺はそう言って出来るだけ彼らを待たせないように素早く帰りの支度を始めた。


帰りの支度が終わりかけた頃一人の生徒が窓の外を見て周囲に異変を呼び掛けている。


「皆見て、空に何かが浮いてる!!」


その生徒は普段はおとなしくあまり印象がない生徒だったが余程驚いたのだろうかその生徒から聞いたこともないほどの声量で状況を伝えている。


その声を聞いた人はぞろぞろと窓の外が見える位置に集まってきて状況を確認していた。


何が浮いているかを話し合う生徒やスマホで撮影する生徒など様々な行動をとっている。


「俺たちも見に行こうぜ」


歩も気になったのか俺たちに呼び掛けてきた。


「そうだな」


俺も気になるし4人で窓の外を見に行くことにした。


「なあ、あれが分かるか?」


歩は空に浮かんでいるものの正体がわかなかったのだろうか、俺たちに質問してきた。


「俺も見えない」


「同じく」


どうやら晴翔と勇人も空に浮かんでいる物の正体が分からなかったらしい。


ちなみにこの時、勇人はスマホのカメラの拡大機能を使って見ていたが、なぜかボヤが掛かってしまい見えないそうだ。


周囲の生徒もスマホを使って空に浮いている物の正体を突き止めようとしているが勇人と同じくなぜかボヤが掛かっているらしい。


「暁は何かわかるか?」


「断言は出来ないが、女性が浮いているように見える。」


俺は視力には少し自信があり見えたものをそのまま3人に伝えた。


「女が飛んでるわけないだろ」


歩そう言って楽しそうに俺の背中をたたいて来た。


それから数分後に少しだけ頭痛がした。


周囲を見ればどうやら俺だけではないらしい。


皆、頭を押さえている。


「人類の皆さんこんにちは。私はこの世界の支配者であり神でもあるヨネアといいます気軽にヨネちゃんと呼んで下さい。まあ、自己紹介はこのくらいでいいでしょう。これから皆さんにはあることをしてもらいます。そのあることとは今の時代風に言うとデスゲームという言葉が一番近いかもしれません。なんでデスゲームなんてしなければならないのかと思ったそこのあなた!!答えはまだ教えません。ゲームを進めるごとになぜ神である私が現れてデスゲームをしようとしているのかが分かるので皆頑張ってクリアを目指してください。見事クリアしたら神である私から直々に報酬があるので期待していてくださいね。あと、今の状態ではほとんどの人がデスゲームにクリアできないと思うので私から皆さんに一つずつ能力をプレゼントしたいと思います。そろそろ話すのも疲れてきたのでゲームの詳細や能力の詳細は今から皆さんの手元に私が丹精込めて作ったスマホを送るかそれで確認して下さい。それじゃあ、楽しいデスゲームライフを。」


ヨネアという神様はそう言い終えて姿を消した。


どうやら空浮いていた女性の正体は神様だったらしい。


さっきの声は直接脳に語り掛けられた感じがした。


周囲を見ても皆今の状況が理解できずに混乱している。


その混乱が落ち着く暇もなく俺を含めた全員の手元に自分のではないスマホが出現した。


この到底現在の科学では説明が出来ない現象の連続によりこれがテレビのドッキリや質の悪いいたずらではないことを徐々に皆が理解していった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る