トりアえズ
清泪(せいな)
とりあえずとりあえずとりあえずとりあえず
とりあえず、付き合って五年目になる彼氏が別れようと言ってきた。
とりあえず、そういう話をするのは近くのファミレスらしい。
とりあえず、仕事が終わってからの呼び出しだったのでお腹の空いていた私はミートスパゲティを頼んでいた。
とりあえず、話を聞いて私はまだ来ないミートスパゲティの代わりに空腹を埋めるためにアイスコーヒーをストローで吸い込んだ。
とりあえず、好きな人が出来たんだとありきたりな理由を聞かされた。
トりあえず、彼氏が浮気しだしたのに気づいたのが二年前だった。
トりあえず、紹介してよと頼まれて会社の同僚に会わせていた。
トりあえず、三人で鍋パーティーするような仲になったのが悪かったらしい。
トりあえず、同棲してる部屋に同僚の匂いがすることが多くなった。
トりあえず、出張なんて行った日には私の匂いが消されてるぐらいだ。
トリあえず、擦り合わせたタイミングのように彼氏の別れ話をフォローする同僚のLINEが届く。
トリあえず、私は既読をあえて付けてやった。
トリあえず、用意してきた話のはずなのに終始しどろもどろに話す彼氏を見ながらテーブルに置かれたミートスパゲティを食べる。
トリあえず、じっと見ながらミートスパゲティを食べていく。
トリアえず、彼氏の好きな人が出来たという話が好きになった人との間に子供が出来たという話に変わっていった。
トリアえず、同僚との肉体関係にゴムを付けるという考えはなかったらしい。
トリアえず、話を聞いてると私の方が浮気相手側になってしまってたんじゃないかと思えてくる。
トリアえず、私はいつの間にかゴムより邪魔物になっていたようだ。
トリアえず、同僚の連続LINEにスマートフォンがぶるぶると震えてウザい。
トリアエず、スマートフォンが気になる私に彼氏は同僚からのLINEなら見てくれと言ってきた。
トリアエず、苗字呼びだったはずが名前呼びになってることを隠そうともしない。
トリアエず、私が浮気に気づいていたことも理解してたようだ。
トリアエず、理解したまま
トリアエず、彼氏の長ったらしい言い訳にも同僚のくどい長文LINEにもわかったと答えてミートスパゲティを平らげた。
トリアエズ、私のわかったの一言に話は終わったと彼氏は先にファミレスを出ていった。
トリアエズ、アイスコーヒーを飲み干してから私もファミレスを後にした。
トリアエズ、近くの公園に小さな野球場が隣接してるのを思い出した。
トリアエズ、少年野球チームの道具管理が杜撰で金属バットが放ったらかされてるのを思い出した。
トリアエズ、私は金属バットを手にすると彼氏のスマートフォンに設定していたGPS共有を頼りに同僚が一人暮らししてるマンションの前へと辿り着き彼氏がドアを開けたところでその頭めがけてバットを一振り。
トりアえズ、まずは一人目。
トりアえズ 清泪(せいな) @seina35
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます