夜明け

※※※


 劇場中がしんと静まり返っていた。ほんのりと明るくなりかけた舞台を、ジェラルドがゆっくりと横切って行く。

 上手のバルコニーには、シャーロットの姿があった。


「Siuil, siuil, siuil a ruin (行って、行って、愛しい人よ)

Siuil go schair agus (そっと静かに出て行って)

Siuil go ciuin (ドアまで来たら)

Siuil go doras agus ealaigh lion (私を連れて逃げて)

Is go dte to mo mhuirnin slan (愛しいあなたのご無事をお祈りしています)……」


 悲しみに満ちたシャーロットの歌声が、細く、響き渡った。


※※※

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る