第19話八日目
「うう…」
アイラトはエーヴァの声がしたので、慌てて振り向いた。
まだ眠ったままだったが、アイラトはそれだけでも、嬉しくてニコニコと笑う。
少し前まで虐殺を行っていた人とは思えない程優しい笑顔だった。
「僕も昨日休めたし良かったー。」
『クリーン』
一応、アイラトは自分が血の匂いがしていたら嫌だった為、クリーンをかけていたようだ。
「今日は流石に起きてよ?流石に僕泣くかもよーw?」
冗談を言いながらもアイラトは表情を見つめた。
今日は穏やかな顔をしているのでそろそろ起きるのではないだろうか。
アイラトはジッとエーヴァを見つめる。
日が当たり、エーヴァは神秘的に美しく見える
「へー。あんたって喋らないで動かないで笑ってたら、こんな綺麗だったんだ。」
「…。え?」
その言葉を言った直後にエーヴァは目を覚ました。
久しぶりに見た動いたエーヴァをアイラトはとても綺麗だと思った。
「えっと…。戦ったりした…?ちょっと疲れてそうだけど…」
「うん。ずっと眠っているあんたを、守ってあげたからね。一度
ここが見つかって探索隊が来ているから、気を付けた方がいい。」
エーヴァは寝起きで混乱しながらも、言われたことを理解する。
「そっか。ありがとう。
ところで、クリーンっていう魔法を使うの見えたけど、何で言わなかったの?
教えてくれたら、水浴びしなくても良かったのに…」
「そ、それは…」
突然気まずくなったかのように、目を逸らして逃げようとするアイラト。
「もしかして…裸見たかった?」
「言葉で言われたら結構ヤバい奴だね。僕」
更に気まずくなるようなことがあるのか焦った顔をしている。
「裸見たの…?」「…」
これは肯定されてるのかな。怒りよりも、守って貰ったし文句は言えないという気分が勝った。
「えっと~体綺麗にしてあげようかなって~」
「…そっか。でも、守ってくれてありがとう。」
アイラトは怒らなかったことに動揺していたが、連れ戻されるよりは良いと思うんだけどな。
「え?いいの?つまり見放題…?」
「いや、それは違うから。」
鼻血を出していたので一応『ヒール』をかけたが、アイラトはニコニコとしながら話して来た。
「おー体軽いねー!」
鼻血も止まったみたいだし、もう大丈夫そうだね。
「あはは…僕、安心して動けない…。」
アイラトはそのまま苦笑いをしていたので、休憩させた。
「ま、まだ僕戦えるよ?それにもう疲れてないよ!」
「いいから休んで。」
アイラトはエーヴァに強く言われて睡眠休憩を取り始めた。
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