第19話

新規クレジットカード

 あるショッピングビルの中の店舗に、メガネを作りに行った。13300円だった。支払いの時に「○○カード(このショッピングビル独自のクレジットカード)はお持ちですか? 今日、新規にお作り頂けたら、2000円引きになります。カードは永久に年間費はかかりません」と言われた。一瞬、迷った。もう、クレジットカードは増やしたくない。むしろ「断捨離しなくちゃ」って思っている。でも、2000円は大きい。心惹かれた。それで「作ります」と言ったら、別の所にあるカウンターに案内された。「しまった。時間かかりそう…」と後悔した。それでも、大人しく待っていたが、一向に係の人がこない。それどころか、カウンターの裏から「データーが送られない…」という声が聞こえていた。それで、係の人を探して「時間かかりますか?」と聞いたら、「今、担当者が昼休み中で、もうすぐ戻って来ますので…」と言ったので「じゃあ、急いでいるので、カードはやめます」と言うと「直ぐに戻りますから…」と言われた。するとカウンターの裏から「今、システムがダウンしているから、時間がかかるよ」と言う声がして、私を引き留めた人が「ああ…、じゃあ、すみません…」と言って、私はその場を離れる事ができた。 開放されて、ホットした。「作るな」と言う神の啓示だったのかな?

 2000円は大きいけれど、でも、またカードが増えるのも嫌だったから、やっぱりカードを作らなくて良かった。でも、カードを作ったら2000円引きになるって、じゃあ、最初っから2000円は上乗せした値段だったのかなあ。  

 新しくクレジットカードを作るとなると、個人情報を記載したり、何かアンケートみたいなのを書かされたり、他の商品を紹介されたりして、1時間はかかっただろう。私の一時間。無職だけど、それなりに貴重な一時間だ。この一時間を2000円で売るって事? 

 なんて、2000円と言う金額の価値について、いろいろと考えてしまった。

 メガネは、一週間かかるらしく、まだ手元にない。

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