第50話 答えてくれませんか?
震えながらスカートを押さえる蜜柑。
今にも泣きそうな顔をしている。
「斎藤……?」
その異変に気づいた滋は小走りで一のもとに近づく。
「斎藤になにかあったのか?」
近づいてくるイケメンに一は驚く。
「え?」
「あれ?生きてる?
じゃ、どうしてこの子は泣きそうな顔を?」
滋の素朴な質問だった。
「パンツを見せないと一先輩は死んじゃうんです」
「え?そうなの?」
茂るより先に一は驚く。
「どういうことだ?」
「先輩に私以外の人のパンツを見せていた間は生きていたんです。
いざ、私がパンツを見せる前に先輩は意識を失ったんです」
「オーケー。
一旦落ち着こう。
話を整理してくれ」
滋がそういうと百道が看護師を連れて一の部屋にやってきた。
「あー、僕にもよくわからないんだけど」
一はとりあえず蜜柑の家であった出来事から説明した。
「ほう、夢の中には私はいなかったんだね……」
葉月の目が光って見える。
「まぁ、そこは置いておいて」
百道が冷静に対処する。
「置いて行かないでー」
茶化す葉月に百道は冷静に聞く。
「そうか。
ジンクス持ちだったんだな」
「うん」
一と蜜柑、みさきの顔が暗くなる。
「ルーティーンって知ってるか?」
「え?」
「簡単に言うと習慣だ。
朝起きたら歯を磨くとか歯を磨かない日はなんかしっくりこないとか。
そんなのだ」
「それはわかりますが……」
「運命なんて結果論なんだよ。
あのときそのとき。
その時の行動を責めても前には進めない」
「だから一に川名さんも。
人を好きになっていいんだぞ」
「でも、私が好きになったら死んじゃいます」
みさきの顔が曇る。
「そのことについて興味深い話があるんだなこれが」
そういって現れたのは、りのあだった。
「だれ?」
一が尋ねると滋が答える。
「お前を助けた人のひとり、枚方警察署の指原りのあさんだ」
「にしし」
りのあは、小さく笑った。
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