第37話 夢か現か幻か
嫌な声が耳に残る。
「泣いてもいいんだよ」
女の子が言う。
「泣かない」
「どうして?」
「男の子だから」
「でも、莫大な財産が手に入るぞ?」
大人たちの目の色が変わる。
「死んだら終わり」
誰かの言葉で大人たちのテンションが終わる。
「好かれなきゃいいんだよ」
「いじめ抜くか?飯も3日に1回とか」
「そんなんじゃ。
財産は入らないぞ?」
「……」
静まり返る大人たち。
「じゃ、殺せばいい」
大人たちが自分を見た気がした。
「逃げろー♪」
女の子が僕の手を引っ張る。
「……え?」
戸惑う僕。
戸惑い以外の感情しかない。
だけど僕は逃げるしか出来なかった。
その場にいたら死ぬ。
そう思ったから……
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