第35話 パンツ大作戦
いまので稼げた時間は2分もない。
静かになった空気。
それを打ち消すかのように葉月がマイクを取る。
「私達は今ピンチです!」
1年生の視線が葉月に集まる。
「あとひとり、あとひとり。
あとひとり入らなければ私達、廃部です!」
ざわつく月曜日。
ざわつく1年生。
次回へ続く。
後半へ続く。
そんな時間稼ぎは許されない。
今、続くのだ。
今、はじまるのだ。
「あー。はい。
時間が押しているので軽音部の紹介は終了とさせていただきます。
次は科学部の紹介です!」
そうして終わった。
クラブ紹介が……
放課後。
どこのクラブに行くか決めた1年生達。
「……こないね」
葉月が言う。
「きませんね」
蜜柑が言う。
「はぁ……」
峰子がため息を吐く。
一は責任を感じていた。
自分が変な歌を歌ったせいだからだと。
「そういえば蜜柑ちゃんのパンツだけ見てないな」
葉月が唐突に言う。
「あ、やっぱり見たいですか?」
蜜柑が一に詰め寄る。
「う……」
戸惑う一。
こういうとき。
見たいといえばセクハラになるのだろう。
でも、見たくないといえば失礼になるのかな?
考える一。
考えろ一。
「そういうのは大事にしまっておこう」
それが正解だと思った。
「あ。未使用のパンツがご所望ですか?」
「え?」
「ダンスにしまっているパンツみます?」
「え?」
一には蜜柑が何を言っているかわからなかった。
「ハーレム男子一」
みさきが小さく笑う。
「みさきさん!」
一はみさきに助けてもらおうと近寄る。
「あ、川名さんだけ下の名前で呼ぶんですか?」
峰子が笑う。
一はピンチだった。
自分はこういうキャラじゃない。
そうそう言うキャラじゃない。
一の頭の中が混乱してまた倒れた。
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