第32話 ミラクルフルーツデラックスイチゴクレープは2500円から

「お?お客さん来てるじゃないか」


そう言って若い男が現れた。


「吾郎さん、でもこのクレープ。

 カップル割のやつなので売上には……」


「いいじゃないか!

 いいんだよ!

 自分が作ったクレープを食べてもらえる。

 それだけでも嬉しいだろ?」


吾郎と呼ばれる男が一とみさきの方を見る。


「えっと……

 斎藤一です」

 

「川名みさきです」


とりあえず、ふたりは自己紹介をした。


「よろしくね。

 ふたりとも!

 僕の名前は橘吾郎!

 さすらいのクレープ屋さ……」


「!?!!?」


みさきが驚く。


「ん?みさきさんどうかした?」


「さすらいのクレープ屋!

 今度、ミラクルフルーツデラックスイチゴクレープを頼みたいです!」


「ふふふふふ……

 こちらも商売なのでね。

 ミラクルフルーツデラックスイチゴクレープは大人価格だよ」


「えっへん!私はバイトしているので、一さんと一緒に必ず来ます!

 ミラクルフルーツデラックスイチゴクレープを食べに……!」


一は、百道に尋ねる。


「ちなみにおいくら?」


「2500円からの提供だ」


「え?」


「つまり時価だ。

 吾郎さんの自家農園で美味しいイチゴが手に入ったときにのみ販売される。

 出せば即売かな。

 女子大生からOL・主婦にご老人にまで大人気だ」


「そうなんだ……」


「ま、アンタも頑張ってバイトだな」


「頑張るよ……」


一はバイトを探そうか悩んだ。

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