第31話 パツキンイケメンボウイ

「ん?」


肩を落とす青年に一は言葉を投げかける。


「いや、こんなとびっきりのサービスなのに客がこないでやんの」


「金髪だからじゃないかな?」


みさきが答える。


「そうなのか?」


「鼻ピアスも怖いよ?穴を開けたの?」


「飾りだよ。

 ホレ!」


青年はそういって鼻ピアスを取った。


「マグネット?」


一が首を傾げる。


「おう!俺の名前は桜庭百道ももち!16歳!

 プロのボクサーになるのが夢のさ」


「ボクサーがクレープ屋?」


みさきも首を傾げる。


「これはダチの手伝いさ」


「そっか」


一が苦笑い。

みさきはあることに気づく。


「って私達と同じ歳?」


「お前ら高校2年だろ?

 だったら同じ歳だな」


「え?本当に?」


「大マジさ」


百道はニッコリと笑う。


「ちなみに同じ高校な」


「ええ?」


ふたりは声を揃えて驚く。


「まぁ、軽音部は最近目立ってるからな。

 噂になってるのさ。ってことで俺はお前らを知っている。

 オーケー?」


「でも、金髪だったら目立つよね?」


「あー、これはヅラさ」


百道はそう言って金髪のウィッグを外した。


「ええー」


ふたりは再び驚く。

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