第6話 それでもいいと思える
「え?でも私にはバイトが……」
「昼休みに楽しむ会なので。
バイトなら問題ないよ!」
美姫がニッコリと笑う。
「そ、そうですが……」
みさきは一の方を見る。
「僕も川名さんと一緒にご飯食べたいな―」
一の言葉にみさきは頷く。
「貴方がそういうのなら……」
みさきは小さく笑う。
「やったー!ありがとう!」
美姫はみさきに抱きついた。
「それはちょっと恥ずかしいです」
照れるみさきを他所に一はコロッケパンをかじる。
「あれ?お前、焼きそばパン買ってなかったか?」
「中身がコロッケパンだった」
「そうなのか。
お前、相変わらずツイてないんだな」
「まぁ、それを含めての僕だから」
「そうだな」
護はそう言うとケラケラ笑った。
夏の蝉は七年間土の中にいると言われている。
そして一週間鳴き続け。
そして命が消える。
見覚えのある少女を見つけたので教室の窓から思わず手を振った。
少女が近づき一の教室にやって来る。
「あの、もしかしてお兄さん、私に手を振りました?」
そして一は我に返る。
「あ、知り合いに似ていたもので……」
「そ、そうですか」
一は幼き頃、一緒によく遊んでいた女の子に似ていたのだと気づく。
その女の子とはひとつの約束をしていました。
「私を見つけたら手を振ってね」
そう言い残し女の子消えた。
一はその言葉を信じて似ている子がいれば手を降ってしまう。
もう彼女は来ないと感じながらも……
もう彼女はいないとわかっていながらも……
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