第5話 ひとりじゃない

一と護は教室に戻ります。


「……」

じっとみさきが一の方を見る。


「川名さん。どうかした?」


一は静かに尋ねた。


「貴方の名前は斎藤一なのですか?」


「え?あ、うん」


一は不思議に思いながらも頷く。


「ちなみに俺の名前は住永護!」


護が胸を張って言った。


「そうですか……」


「お?なになに?

 私抜きで自己紹介?」


美姫も話に入る。。


「いえ、そういうわけでは……」


みさきは小さく一から目を逸らした。


「いいじゃん。仲良くなろうよ!

 私の名前は葛城美姫!

 こうみえて剣道には自身があるんだよ!」


「お?ズルい!俺はフェンシングだ!

 フェンシングで日本一強くなる!」


護が胸を張る。


みさきは一の目をそっと見る。


「僕は帰宅部よりの軽音部」


「楽器をなさるのですか?」


「うん。ギターを軽く引けるよ」


「そうですか」


「川名さんはクラブ入らないの?」


美姫は笑顔のまま尋ねる。


「私はバイトがあるので……」


「そっか」


「じゃ私達、お昼休み同盟結束だね」


「え?」


美姫の言葉にみさきは驚く。


「結成!やった!」


美姫は喜んだ。

強引に喜んだ。

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