第4話 雨はいつ止むのでしょうか
一はいつもの校庭で昼食を食べる。
見上げると教室の窓からみさきの姿が見えた。
「惚れたか?」
護がそう言って茶化す。
「そうじゃないよ」
「ふーん」
美姫が嬉しそうに笑う。
「な、なに?」
「一も童貞を捨てるのかぁーって思ってさ」
「ないと思うよ。
僕は愛しても愛されたらダメだから」
「え?」
美姫の表情が固まる。
「だって僕は化け物だから」
「そんなことないよ」
美姫は目に涙を浮かべていった。
そしてチャイムが鳴る。
「この話は終わりだね」
一がそう言って話を終わらせた。
――放課後
「あー雨降ってきたぜ」
護がそう言ってため息を吐く。
「本当だね。さっきまで晴れてたのに」
一も空を見上げる。
ポツポツ。
トタトタ。
シトンシトン。
「雨の日は寒いな」
「うん、早く春が来ないかな」
「その前に試験だな」
護の言葉に一はため息を吐く。
「嫌だね」
「お前なら余裕だろ?」
「試験は余裕だけど。
あの人に絡まれるのは嫌だ」
「モテモテじゃん」
護の言葉には一はなにも返さなかった。
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