第13話:ダウナーちゃんと絆創膏
とある日の放課後。
「健人、帰ろうよー」
「あぁ、ちょっと待ってくれ。すぐに帰る準備するからさ」
俺は家に帰る準備をするべく、学生鞄の中に荷物を一気にしまいこんでいってる所だった。しかしその時……。
「……って、痛っ!」
机の中に入ってるプリント類を取り出そうとしたその時、プリントの端に俺の指が当たってしまい、そのまま勢いよくスパっと指を切ってしまった。
「ん? どしたの?」
「いてて……あ、いや、ちょっとな……机の中に入ってたプリントを慌てて取り出そうとしたら指を切っちゃったみたいだ」
俺は机の中からゆっくりと手を出していった。すると人差し指の先端が切れてしまっていて血がポタポタと出てしまっていた。
「あー、これは痛そうだね。大丈夫?」
「あぁ、うん。まぁ我慢は出来る痛さ……あ、痛っ」
我慢しようと思ってそう言ったんだけど、それでもやっぱり痛いものは痛かった。
「うーん、それはそうだよねー……って、あっ、そうだ」
「……ん?」
すると坂野は何かを思い出したようで、急に自分の持っている鞄の中をガサゴソと弄り始めていった。
「えぇっと……あぁ、あったあった。はい、これ」
「え? これって……絆創膏?」
坂野はそう言って鞄の中から絆創膏を取り出してきた。
「えっと、いやそれは本当にありがたいんだけどさ……でも何で絆創膏なんて鞄の中に入ってんだ?」
「んー? あー、まぁ何て言うか……昔のなごりかな?」
「え? 昔の名残って?」
坂野が自分の昔の話をするなんて珍しいなと思って俺はそう尋ね返してみた。
「いやもうだいぶ昔の話なんだけどさ、私が子供の頃に時々遊んでた男の子がいたんだよね。そんでその男の子はよく怪我をする男の子だったんだからさ、いつもしょうがなく私がその子の膝とかに絆創膏を張ってあげたんだよ。その時の名残で今もつい絆創膏とかを鞄の中に入れちゃってるんだよねー」
「へ、へぇ……そうなんだ?」
俺は初めて坂野の過去話を聞いたんだけど、でもまさか坂野に仲の良い男の子がいるなんて思いもしなかったので、俺はちょっとだけ気が動転してしまった。
「うん、そうそう。ま、でも小学生の頃の話だけどね。あ、という事はもう十年近くも前の話なのかー」
「な、なるほど……? え、えっと、ちなみにだけどさ……その男の子とは今でも仲は良いのか?」
「んー? まぁそれなりには仲は良いんじゃないかな? まぁ向こうはどう思ってるのかは知らんけど」
「し、知らんってそんなおざなりな……」
俺はその仲の良い男子の事が気になってそう尋ねてみたんだけど、でも坂野は滅茶苦茶どうでも良さそうな感じでそう返事を返してきた。
でもそれってつまりアレなのかな、坂野が大阪に住んでた時に仲良かったクラスメイトの男子とかなのかな? い、いやマジで気になるって!
「……ボーっとしちゃって、どうしたのよ健人? よくわからないけど、早く手当するから指をこっちに見してよ」
「え……え? あ、あぁ、ごめん、ありがと……それじゃあ、はい」
そんな感じでかなり悶々としていると坂野がキョトンとした顔でそう尋ねてきた。なので俺は慌てて切ってしまった指を坂野の方に見せていった。
「うん、それじゃあ手当てを……って、あ……」
「う、うん? どうしたんだ?」
するとその時、坂野は急に何やら変な声をあげてきた。
「あー、いや、ごめん。絆創膏は入れてたんだけどさ、そういえば消毒液は入れてなかったんだ」
「ん? あぁ、そうなんだ? いや、別に消毒くらい気にしなくていいよ」
「いや、そういう訳にもいかないでしょ。ちゃんと消毒してから絆創膏をしなきゃ……うーん、あ、そうだ」
「う、うん? そうだって……って、ちょっ!?」
「んー……ちゅぷ……ちゅぱ」
その瞬間、坂野は俺の人差し指を口の中に咥え込んでいった。俺は驚愕のあまり慌てて坂野の事を呼び止めていった。
「ちょ、ちょい坂野さん!?」
「ちゅぷ……ちゅぷ、ちゅぷ……んー? ろうひはほ?」
「ど、どうしたって、な、何で俺の指を舐めてんの!? ってちょっ!? や、やばいってそれ!?」
「ちゅぷ、ちゅぷちゅぷ……んー、ちゅぷちゅぷちゅぷ」
坂野は俺の言葉で止まる事なく、そのまま俺の指をひたすらと丁寧にちゅぱちゅぱと舐め始めていった。
しかも坂野の口の中はとても温かくてニュルニュルと蠢いていて、それが全体で俺の指を優しく包み込んでいる感じがして……本当に滅茶苦茶気持ち良かった。
(……って、い、いや、ちょっと待ってくれよ! これじゃあ俺が変態みたいじゃないか!!)
という事で俺はその指ちゅぱの快感に屈する事なく全力で我慢していった。そしてそれから程なくして……。
「ちゅぷ、ちゅぷちゅぷ……ん、ぷはぁっ……ふぅ。これで良しと」
それから程なくしてようやく坂野は口から俺の指を離していってくれた。そしてその時に坂野の口からは透明な液体がつぅ……っと静かに垂れてきていた。
それがもう尋常じゃないくらいに滅茶苦茶エロかった。
「え……えっ!? い、いやこれで良しって……え、ど、どういう事だよ?」
という事で俺は正気を取り戻して慌てて坂野にそう尋ねていった。
「んー? いや確か唾液にも殺菌効果があるって言うでしょ? だからこれで大丈夫だよ。沢山舐めてあげたからさ、これで殺菌効果はバッチリだよ。あとは絆創膏をクルクルーっと……はい、これで完成ー」
「え……あ……」
坂野はそのまま手際よく俺の人差し指に絆創膏をクルクルっと巻きつけていってくれた。
「あ、もし痛かったら家に帰ってからちゃんと消毒と絆創膏を張り直してね」
「え……あ、えっと……うん、わかった……あ、ありがとう……」
「ん、どういたしまして。よし、それじゃあさっさと帰ろうよー? 早く帰る準備してよ健人ー」
「え……えっ!? あ、あぁ、わ、わかったよ……!」
俺は坂野に応急手当をしてもらって顔が滅茶苦茶に赤くなっているというのに、坂野は顔色を一切変えずにいつも通りの様子で俺に帰る準備を急がせてきた。
(た、頼むから少しくらい坂野も恥ずかしそうな顔をしてくれよ……!)
俺はそんな事を思いながらも急いで帰る準備を進めていった。
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