小説の改善 2(プロット抽出と改善指摘)

前回の続きで、長編小説を後付けで60個のシーンに分割し、シーン番号を振るようにします。

このシーン番号を基準に改善の検討をしていきます。

シーン番号を振らないと、AIとのやりとりがフワフワして、どこの議論をしているか、わからなくなりますので。


ちなみに、Claude 3はノーヒントで12万文字の長編小説からプロット抽出してくれてますので、そこも何気に凄いのです。




▼シーン番号を振るプロンプト

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プロの編集者として回答してください。

アップロードした執筆済み作品を60のシーンに分割し、プロットを整理してください。プロットにはシーン番号を先頭に記載してください

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▼Claude 3のレスポンス

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承知しました。以下に、60のシーンに分割した上で、プロットを整理してお示しします。


1. 鹿彦の夢で老婆の声が聞こえる

2. 鹿彦が目覚め、母と会話する

3. 鹿彦が田んぼの草むしりをしていると、陽那と出会う

4. 陽那が鹿彦の家に泊まることになる

5. 夜、蜥蜴の大群が鹿彦の家を襲う

6. 鹿彦の母が蜥蜴に殺され、陽那が鹿彦を逃がす

7. 鹿彦が必死で逃げ、気を失う

8. 鹿彦が白ノ宮の言忌ノ宮で目覚める

9. 巫女の沙耶と出会う

10. 沙耶が自身の過去と言忌様について語る

11. 沙耶が地下への階段を下りるのを鹿彦が目撃する

〜省略〜

58. 大巫女が命を懸けて、全員を現世に引き戻す

59. 白ノ宮に戻った一行、大巫女は力尽きて死亡する

60. 沙耶が目覚め、平和が訪れる


以上が、60のシーンに分割した上で整理したプロットになります。物語の大まかな流れを掴むのに役立つかと思います。ご確認ください。

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はい、完璧にプロット抽出できています。

このプロット抽出がイマイチな場合は、以下の方法でプロット精度を高められます。

1. 先にあらすじや章立てを抽出してもらう

『本作のあらすじと章立てを整理して教えてください』

2. あらすじや章立てが正しいか自体をプロンプトでチェックする

『先ほどのあらすじと章立ては、本作と比較して妥当か再度チェックしてください』

3. 抽出したあらすじや章立てを添えて、プロットを抽出してもらう




▼改善案を求めるプロンプト

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改善が必要な箇所について、シーン番号を元に、重要な順番に10点教えてください。

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▼Claude 3のレスポンス

はい、改善が必要な箇所を重要な順番に10点、シーン番号を元にお伝えします。


1. シーン34-35: 鹿彦が東ノ顎の生まれ変わりだと判明した後、村人から疎まれる描写をより丁寧に描く。鹿彦の心情や、村人との関係性の変化をより詳細に描写することで、物語の深みが増す。


2. シーン51-54: 西ノ顎との最終決戦のシーンをより詳細に描写する。東ノ顎と西ノ顎の戦いの様子、鹿彦の心情の変化、仲間たちの活躍などを丁寧に描くことで、クライマックスの盛り上がりが増す。


3. シーン24-26: 鹿彦が夢の世界で殿と出会うシーンをより丁寧に描写する。冥界へ向かう人々の描写や、信成との出会いで明かされる真実など、このシーンは物語の鍵を握る重要な場面なので、より詳細に描写することが望ましい。


4. シーン58-59: 大巫女が命を懸けて全員を救うシーンは、物語の大きな転換点である。大巫女の決意や行動、そして犠牲の意味をより深く描写することで、読者により強いインパクトを与えることができる。


5. シーン16-17: 鹿彦と沙耶が言忌様の存在に気づき、宮を去る決意をするシーンは、二人の関係性や物語の方向性を示す重要な場面である。二人の心情や決意をより丁寧に描写することで、読者の感情移入が深まる。


〜省略〜


以上が、改善が必要な箇所の上位10点です。これらのシーンを丁寧に描写することで、物語の完成度がさらに高まるでしょう。

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見事に指摘してくれました!

対象箇所がメチャクチャわかりやすい。




▼改善文章案を求めるプロンプト

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1. シーン34-35:

の指摘について、現状の文章の引用と、改善案を教えてください。

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▼Claude 3のレスポンス

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現状の文章:

 鹿彦は長老の声を、はじめて聞くものとは思えなかった。だとすればいつ、どこで聞いたのだろうか。思案する鹿彦をよそに、沙耶はいった。

「沙羅ノ腕様。わたしのことを憶えていてくださり、光栄です。――以前、白ノ宮でお会いしてから、はや、六年になるでしょうか」

「そうかのう。こう年をとると、いつがいつだか、わからんようになる」

「いえ、まるで、おかわりがないように思われます。ご達者でなによりです」

「ふむ。あのとき、そなたはわしの給仕をしてくれたな。つまずいて膳をひっくり返した娘が、世辞をいうようになったか。時は移るものだのう」

〜省略〜


改善案:

 鹿彦は長老の声に聞き覚えがあった。だが、いつ、どこで聞いたのかは思い出せない。沙耶と長老が旧知の仲であることを知り、鹿彦は複雑な心境になる。自分の出自についての不安が募る中、長老から衝撃の事実を告げられる。

「その通りだ。東ノ顎ひがしのあぎとよ」

 その言葉に、鹿彦の体が強張った。東ノ顎ひがしのあぎと――聞き慣れない名前だが、どこか運命的な響きを感じる。

 鷹ノ左目と呼ばれた青年が割って入る。

「おまえが、東ノ顎ひがしのあぎとだというのか。おまえが……」

〜省略〜


 改善案では、鹿彦の心情により焦点を当て、東ノ顎という名を告げられたときの衝撃や、村人から疎まれる様子をより詳細に描写しています。これにより、読者は鹿彦の立場に感情移入しやすくなり、物語への没入感が高まるでしょう。また、鹿彦の出自が明らかになったことで、物語の緊張感も高まります。

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指摘箇所を引用し、その改善案を具体的に示してくれました。

改善案自体は正直微妙ではありますが、具体的に指摘してくれるのはありがたいです。


次に、『指摘された箇所って本当に重要なの?』という疑問があると思います。

そこで、ここまでの指摘自体の妥当性を念のためチェックします。




▼指摘自体を評価するプロンプト

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プロのシナリオライターとして回答してください。

前述で指摘された、重要な改善必要箇所の10点は、あなたの視点からも同意見ですか?

指摘内容に異議はありますか?

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▼Claude 3のレスポンス

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プロのシナリオライターとして、前述の改善必要箇所10点について、私の視点から意見を述べさせていただきます。


基本的に、指摘された10点は物語の重要な転換点や、キャラクターの感情の機微に関わる場面であり、改善の必要性については同意します。これらの場面を丁寧に描写することで、物語の深みや読者の感情移入が増すでしょう。


ただし、いくつか補足意見があります。


1. シーン34-35について、鹿彦が東ノ顎の生まれ変わりだと判明した後、村人から疎まれる描写は重要ですが、同時に鹿彦を支える人物(沙耶や長老など)の存在も描写することで、バランスを取ることが大切だと思います。


2. シーン51-54の西ノ顎との最終決戦は、物語のクライマックスであり、より詳細な描写が求められます。ただし、戦闘シーンの長大化には注意が必要です。物語の本質は、鹿彦の内面の変化や、登場人物の感情の機微にあることを忘れてはいけません。


〜省略〜


これらの点に留意しつつ、指摘された10点の場面を改善することで、物語はより深みのある、感情移入度の高いものになるでしょう。私は、これらの改善点に異議はありません。むしろ、的確な指摘だと思います。ただし、改善の際には、物語の本質を見失わないよう、バランスを保つことが重要だと考えます。

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プロの編集者が出した改善案に、プロのシナリオライターがフォローする、みたいな役割分担をシミュレーションしてみました。

このように、不安な点はロールを変えてもらい、質問しましょう!

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