祝日出勤

レイ

第1話 当たり前の日常

 「大体ね、桜田君はいつも動きがトロいんだよ! もっとテキパキ動いてくれないと!」


 「はーい。了解でーす。」


 「なんだその言い方は!まったく、これだから私が上から怒られるんだ!」


 「だって、今日祝日なんですよー? 本来なら休みじゃないですか。」


 「そりゃ…私だって休みたいよ! でも上から仕事に出ろって言われてるんだよ。」


 社員の桜田と上司の田中がいつものように言い合いをする。


 「まぁ、やる事はやりますよ。」


 桜田は仕事をこなしていく。


 「よし、その調子だ!桜田君!」


 「あ。」


 「なんだね?桜田君。」


 「ここ、間違ってました。」


 田中さんが少しずつ初期微動を始める。


 「だぁからぁ、あれほど言ったんだ!!!」


 田中さんの血が沸騰した。


 「まぁまぁ、そんな怒らないでくださいよ。今から昼休憩なんでお昼ご飯食べてリラックスしましょ。」


 桜田は逃げるように外食に行く。


 「桜田君!待ちなさい!!」


 俺は構わず会社を出て、近くのカツ丼屋に来た。


 「お持ち帰りですか? 店内でお召し上がりになりますか?」


 「カツ丼を三つください。二つはお持ち帰りで、もう一つは店内で食べます。」


 ---数分後 カツ丼到着


 俺は早く戻って会社で寝たい為、急いで食べる。


 店内は客でいっぱいなため、店員さんが大変そうだった。


 「お会計は千二百円です。」


 「祝日なのに、大変そうですね。」


 お金を出しながら桜田は店員に言った。


 「はい!これが私達の当たり前なので! 祝日って稼ぎ時なんですよ。」


 「なるほど…。ご馳走様でした!」


 俺は店を出て、少し笑みを浮かべた。


 ---会社到着


 「ただいま戻りましたぁー。…お、田中さんいないぜ。いつもと通り、上の者とお話でもしてるんだろうな。」


 「ガラガラッ」


 桜田と同期の川田が田中さんの椅子を持ってきた。


 「川田、ナイスだ。」


 桜田は自分の椅子と田中さんの椅子を縦に並べ、寝転がる。


 勿論、足は田中さんの椅子の上。


 「はぁ…。また、桜田君のミスで私が怒られたよ。…お昼まだ何も食べてないからお腹すいたな。」


 田中さんが戻ってきた。


 「お、田中さん戻ってきたんですね。」


 「あ!また、私の椅子を使って…。退けなさい!」


 「やだ!今日は祝日だ!!」


 「ふふふっ。」


 桜田と田中さんの言い合いをみて川田が微笑む。


 カツ丼は冷めても、三人の心は暖かい。


 

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祝日出勤 レイ @Rei____01

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