自分のステータス
生まれてから一年がたった。
なぜ1年が経ったかわかるかというと、柔らかい苔に1日ずつ、一ヶ月ずつ線を入れてるからだ。
しかし、前と比べて、たいして行動範囲は変わっていなく、この洞窟中を動き回っているだけだ。
強いて言えば、最近は立てるようになってきたので、行動範囲が少し上がったくらいだ。
外に出なかったのは、洞窟内の景色しか知らず、ここがどこなのかわからないので、少し不安だったからだ。
いきなり凶暴な肉食獣に遭遇したり、もしかしたら、魔獣もいるかも知れないからね。
また、動き回るとこの体はすぐに疲れるので、効率的に筋力を上げるために、最近はスクワッドとか腕立て伏せとか、筋トレを行っている。
…生後一年の赤ん坊が、筋トレしてるというのも、図がおかしいと思うが、大切な筋力のためである。仕方がない。
その筋トレが功を結んだか、最近は比較的素早く動けるようになってきた。
そういえば、魔力を前までエネルギーとしていたが、最近お腹が空くことが多くなってきて、袋に入ったご飯にも手を出し始めている。
ミルク以外はTHE保存食みたいな感じで、硬いし、もそもそしていて、お世辞にも美味しいとは言えないが、贅沢はいってられない。
そして、鑑定の方はどうかというと 、魔力切れという事故に合うことはあったが、毎日ひたすら洞窟内のいろんな物を調べ続けた。
ちなみにいま近くに生えている、わかめのような形をした草は、筋力を上げやすくする効果があるそうだ。
鑑定の指示に従って作ったそれを、俺はプロテインと読んでいる。筋トレ時の大切なパートナーだ。
7ヶ月間、鑑定を繰り返した結果、鑑定はLv.11まで上がった。
レベルが上がりにくいのは、多分、この洞窟内でしか俺が活動していないことが原因だ。
でも、だんだん詳しくなってきているし、多分、俺のステータスを見るにはもう十分だと思う。
魔力を汲み上げ、目に集中させる。自分の手を見ると、頭に情報が流れ込んでくる。
前に一度、自分を鑑定したときにわかったことだが、目の魔力を集めた状態で自分の一部を見ると、ステータスを鑑定することができる。
#<名前>ノア(家名なし)
<HP> 60/60
<MP> 150/150
<筋力> 60
<体力> 20
<瞬発力>40
:レベル 10
:固有スキル "魔香"
:効果 "魔獣を引き寄せる"(※聖域では効果なし)
<スキル> 『魔力制御Lv.8』『気配察知Lv.6』『身体強化Lv.9』『鑑定Lv.11』『闇魔法Lv.1』『光魔法Lv.1』#
やっぱり結構詳しくなった。
…前鑑定したときなんか名前のみだったからね。
脳に流れ込んできた情報を、上から順に読み取っていく。
<HP>、<MP>、<筋力>、<体力>、<瞬発力>という項目を比べると、MP、つまり魔力がダントツで高いようだ。
多分魔力を一番使っていたからだね。
自分自身のレベルも、どんな基準で上がっているのかはわからないが、今のところレベルは10のようだ。
そして、レベルの下の固有スキルの欄を見る。
………絶対これだね。
見た瞬間確信した。
ここは聖域なので効果はないらしいが、普通のところにいれば、魔獣に襲われてしまう。
たしかに赤ん坊のうちは聖域で守れるが、大きくなっていくにつれて、俺を育てるのは危険が伴ってくる。
俺は、あまりいい匂いとは言えないわらに寝かされていた。
あれくらいの貧乏な家では、魔獣が来たらたまったものではないだろう。
俺は魔獣についてよく知らないが、日本のたった一体の熊でさえ、あんなに被害を出していたし、仮にも魔獣と呼ばれるほどなのだ。それなりだろう。
俺はまだ赤ん坊だったが、育てていると情がうつってしまう。下手に情が移さないうちに捨ててしまったのだろう。
別に自分たちが生きるための、あの人達の判断を責めるつもりもないし、俺もその立場だったらそうしたとは思う。
でも、別に魔香ってめちゃくちゃ悪いスキルではないと思う。
確かに厄介だし人を巻き込む嫌なスキルだけど、このスキルの使い道はある。
それは、探す手間が省け、効率的に魔獣を狩る事ができることだ。
効率的というのは、生きるうえで時間が限られている以上、じつは結構大切だ。
ゲームなどでも、結局強くなるのはどれだけその単純な作業を効率的にやるかに限る。
例えば、一つは三十分で1レベル上がるとする。一つは、二十分で1レベル上がるとする。2個目のほうが効率的だ。
1時間たったら、2レベルと3レベル。差は1
2時間たったら、4レベルと6レベル。差は2
3時間たったら、6レベルと9レベル。差は3
効率的にやることでだんだん少しずつだが、しっかりと相手と差がついてくる。
色々上げたように、このスキルのデメリットが多くあるが、もしかしたらこの固有スキルの効果を切ったりすることができるかもしれない。
そうすれば、デメリットはすべて解消することができる。
それを考えると、魔香は案外めちゃくちゃ悪いスキルというわけではないと俺は思う。
多分固有スキルとは、一生付き合っていかないといけないと思うし、毛嫌いするより、もっとこのスキルを知って、使っていくほうがよっぽどいいだろう。
まあ、俺が今魔獣とかに遭遇したら、逃げるしか選択肢はないだろう。俺は、相手と戦える力を持っていない。
それを考えると、聖域を張ってくれた人、神父様には感謝しかない。
ちなみに神父様聖域を張ってくれたことは、前に聖域のキラキラとした光を、もう一度鑑定したときに知った。
もう神父様がいる方向には、足を向けてねれないなーと思いながら、スキルの欄を見る。神父様がどこにいるのかは知らないけど。
『魔力制御Lv.8』『気配察知Lv.6』『身体強化Lv.9』『鑑定Lv.11』『闇魔法Lv.1』『光魔法Lv.1』把握していたとおりだった。
でも、ときどきわからなくなるから、わからなくなったらこの欄を見よう。
闇魔法と光魔法の欄を見ていると、使いたくなってくる。やっぱり魔法は憧れる。誰か教えてくれる人いないかな。
✕✕✕✕✕
ステータスは、主人公が鑑定したときに乗せたので、今回は載せません。
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