霊感少女

@osikko_siiiichan

黒歴史放出祭用

保育園児の頃から、親の都合で転園・転校の多かった私。


保育園には合計三園通い、小学校も三校通った。

私の黒歴史が刻まれた学校は、小学一年生の頃から4年生の秋頃まで居た、二番目の学校である。

(一番目の学校は入学式から一週間で転校した。)


通う場所がくるくる変わる私は学年が上がるにつれ次第に内気な性格となり、関わる友達も限られていた。

絵を描くのが好きだったので、教室では自由帳に黙々と絵を描いていた。


小学生四年生のそんな時、今で言う一軍女子から「宮口さん絵めっちゃ上手いねー!」と声を掛けられた。


それをきっかけにその一軍女子は自分のグループの子にも声を掛け、私の絵をしばしば見に来た。


普段関わりのない人との会話と、褒められることが嬉しかったので私は浮かれて「どうにかこの繋がりを大切にしたい、この優しいグループの子たちともっと仲良くしたい」と考えるようになった。


考えた結果、どうすることになったかと言うと、


「私、実はお化けが見えるんだ。」


霊感があるフリをした。

実際にはない。


それを聞いた一軍女子は


「マジで?!」


と驚いていた。


「今ここにお化けっている?」


「う、うーん…いるけどちょっと…。」


「なになに?どこにいるか知りたい!」


「いや…ちょっと、これ言っていいのかな…怖くない?」


「いいよいいよ!どこ?!」


「加藤さんの下…。」


「「「キャーーーーーー!」」」


一軍女子加藤さんをはじめ、みんなで怖さに叫んでいた。


でも彼女達は怖いよりも好奇心が勝るようで、その後も度々霊感の話を聞きに来たり、学校内にお化けが居ないか探しに行こう!とよく連れ回された。


彼女達にした話は、

物心つく頃から見えていたので、お化けが居るのは普通の光景。


「だから私達今まで気づかなかったんだあ〜!」


担任の岡崎先生には女性の霊が取り憑いている。


「怖っっ!先生大丈夫かな?!」


お化けは割りとそこら辺にうようよいる。


「そうなの?!そしたら一緒にお化け探しに行こうよ!」


そういう訳で中休みや昼休み、放課後のちょっとした時間に学校内を彼女達と探検し、それっぽいことを言っていた。


「階段の上に坊主の男の子が座って俯いている。」

「あっちの廊下の奥には兵士が立っていて通せんぼをしているから行かない方がいい。」

「奥のトイレの前に女の人が立ってて、悪い霊じゃなさそうだけど私はあのトイレに入れない。」←本当に霊感があって悪いものじゃないと分かってるなら入れるだろ笑


などなど、ハッタリをかましまくった。それはもう毎日。毎昼休み。毎放課後。

それだけ頻繁に集まるので、一軍女子加藤さんがこの集まりに名前を付けた。


“心霊探検クラブ”


安直だけど名前だけで活動内容が分かるし、ちょっと、いや、かなりワクワクした。

私の霊感(無い)でクラブが出来ちゃった!!


クラブとは言うもののもちろん学校公認のものではなく子ども達の勝手な集まり。

でも子どもなので本当に嬉しくてルンルンで帰った。


ちなみに心霊探検クラブの一軍女子以外の友人や、家族には私の霊感の話はしていない。(無いから)


しばらくそんな楽しい日々が続いていたが、また親の都合で転校することになった。


「寂しいね…。」

「心霊探検クラブどうしよう…。」


一軍女子は寂しがってくれたし、何よりクラブの存続を懸念していた。

一軍女子も楽しかったのだ。


実はこの転校を機にやめようと思っていたことがある。






霊 感 少 女 、 や め る 。






クラブの存続について、私の答えは決まっていた。


「残念だけど、クラブは解散だね…。」


4年生の冬に転校した私は、もう霊感少女じゃない。

新しい学校で、新しい人生を始めるのだ。

正直もう嘘をつくのに疲れていた。多分一生分の嘘をついた。

クラブ活動も、数ヶ月経つとしんどくなっていた。ネタ切れだし。


5年生の夏、クラブとは別に仲良くしていた友人から連絡を貰い、あのクラブ活動をしていた学校のお祭りに行くことになった。


学校のグラウンドで、保護者や先生達が出店を開き食べ物やお酒を売っていた。


呼んでくれた友人とかき氷を食べていると、


「あっ!宮口さん!久しぶりー!」


一軍女子加藤さん達が走ってやってきた。


やめろやめろ。正直君達を見るだけてあの霊感少女だった日々が鮮明に蘇ってくる。


「あ、久しぶり!みんなまだ仲良いんだね、元気そうでよかった^^」


空元気で返事をする。


「うん元気元気!ねえまだお化け見えるの?!」


「え、お化け?宮口お化け見えるの?」


呼んでくれた友人はクラブ活動のことを知らない。もとい私の霊感少女だった(無い)過去も知らない。

やめてくれ。オーバーキルだ。


「あ〜…そうそう、見えてたんだけど、5年生になってから見えなくなっちゃったんだよね、大きくなったってことかなあ?」


「あ、そーなんだ…ざんねーん。」


またあの日のように嘘にまみれたお化けツアーがは始まるところだった。あっぶねえ。


「でもね!聞いて宮口さん!」


転校先では霊感少女の素振りを一切見せず、霊感少女として生きたこの地でも嘘に嘘を重ねてケリをつけ、約一年かけてやっと霊感少女を完全に卒業した私に、思わぬ事実が突き付けられる。





「心霊探検クラブ、まだあるよ!!」







[完]



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