第3話 邂逅

ここから釖真視点


・・・・・・


 俺は目の前の光景を疑っていた。何が起きてんのかちっともわからなくなっている。彼女をチャラ男たちから救い出すためここに来たのに、なぜ鬼がいる。夢かと思ったがじゃあさっきまでの疲れや脇腹の痛みをどう説明する。つまり、これは現実だ。じゃあ、


釖「お前は一体何者だ?」


 これが現実なら、やつはほぼ確実にあのチャラ男たちを縛り上げた犯人。身長は、、、2Mはありそうだ。その男がなぜこの部屋にいる。なぜチャラ男たちを縛り上げている。考えれば考えるほどわけが分からない。そのとき


鬼「、、、お前がその子の彼氏か?」


 と俺に問いかけてきた。そして鬼は持っていたバットのようなものをベッド咲楽の方に向ける。


釖「ああそうだ。俺が咲楽の彼氏だ。まさかお前も咲楽を、、、」


 俺の返答を聞いた次の瞬間、


鬼「ああ、そうか、そうなのか。うぅ、、、よ”か”った”な”あ”ぁ!」


 鬼が泣いた。周りの目を気にもしない様子で泣き叫んでいる。うるさいと感じる程に。顔をよく見た時、涙は見えないが般若のお面を抑えている様子から、俺は初めて鬼は人間であるということを知った。そして俺はますます混乱した。なぜ泣いている。もう意味がわからない。


 少しだけ時間が経ち鬼、いや大男が泣き止んだ。そしたら、俺に語りかけてきた。


鬼「良かった、、。本当に良かった。俺が間に合って。彼氏くん、安心してほしい。もうこの男たちの金的は使い物にならない。だから二度とNTRはできない!それからここに名刺を置いておく。もしまた被害に合いそうならすぐ教えてくれ。必ず駆けつける。」


 よく見るとたしかにチャラ男たちの股間には、血のような赤いシミができていた。俺は一瞬、そのバットで自分の金的が思い切り潰される様子を想像してしまった。、、、ヒュン。


鬼「それじゃあ、、俺はこの男たちとから行くね。あ、後日この男たちにきちんと謝罪させるから。じゃ、今度はちゃんと側で守ってあげろよ!」


 大男はそう言うと、チャラ男たちを担ぎ、なんと開いている窓から飛び出した。、、、ここ四階だぞ!。俺はすぐに窓の下を見たが、すでに大男とチャラ男たちの姿はなかった。いや今はそういうことは後だ。咲楽は大丈夫か。俺はすぐにベッドの上の咲楽のもとに駆けつけた。


釖「おい、咲楽さん。咲楽!しっかりしろ!」

咲「、、、んん。釖真、くん?」


 良かった。意識はあるみたいだ。


釖「大丈夫か?あいつらになにもされてないか?」

咲「大丈、夫。媚薬を飲まされただけだよ。釖真くんが助けてくれたんだよね?」


 いや、厳密には違う。多分大量の媚薬のせいで意識が飛び飛びだったのだろう。正確には、助けたのはあの鬼のような大男だ。


釖「いや、謎の大男がチャラ男たちをやっつけたんだ。だから、、俺は何もしていない。できていない。」

咲「それは違うよ。確かにあの人たちをやっつけたのはあの人かもしれないけど、釖真くんは諦めずに、ここまできてくれたんでしょ?それが私にとって一番重要なんだから。ありがとう。釖真くん。大好き。」


 その時、突然咲楽は俺の唇にキスをした。突然の出来事に頭が追いつかない。え、咲楽の方からキス?なんで???それで終わればまだ良かったが、なぜか咲楽は舌入れ、俺の舌と絡めてきた。完全にディープなやつだ。これ。


・・・・・・

 

 恐らく三十秒は経っただろう。咲楽はやっと口を離してくれた。


釖「、、、、え?え?え?」

咲「ご、ごめんなさい。媚薬のせいで体が火照ってて、つい、、、。」


 咲楽は両手で赤くなった顔を隠した。え、何?カワイイ。だがその時やっと背後の視線に気づいた。そこには、先程の受付の人と、恐らく応援を呼んだのだろう。もう一人係員がいた。十中八九、見られただろう。


係1「あ、えっと、、、。失礼しました!!!」


 恐らく新人だろうか、受付の人は頬を赤らめ出ていってしまった。ここラブホなのに。


係2「え、ちょっとどこ行くの?!、、、あーえっと、失礼しました。」


 もう一人の係員は慣れているのか、俺達に深々と頭をさげ、受付の人の後を追うように部屋から出ていった。


咲「、、、見られちゃったね。」

釖「そ、そうだな」


 めっちゃ恥ずかしい。人生初のディープキスを他人に見られた。恥ずかしい通り越してカナシイ。いい雰囲気だったのにぶち壊しやがって。ああ、怒りも湧いてきた。そんな感じで感傷に浸っていると、


咲「それよりもさ。あの人たち、この部屋あと四時間くらい取ってあるんだって。」


 ん?なぜいきなりその話を、


咲「私、凄く怖かったなぁ。私の初めてが奪われるかと思った。あーあ、早く誰か私を助けてくれるヒーローのようなかっこいい人に貰ってほしいなぁ。チラチラ。」


 え、、、、、、、、、、、、、。え?いいの?自分でも鈍いと自負するこの俺だが、ここまで露骨にアピールされれば流石に気づく。


釖「ほ、ほ、本当にいいの?」

咲「ふふ。すごい緊張してる。、、、いいの。というか釖真くんがいいの。」


 そう言うと咲楽はベッドにあらためて寝そべり、俺に両手を向ける。そして、


咲「、、、来て?」


 俺の理性はぶっ飛んだ。


・・・・・・


ーーーあとがきーーー

 いかがでしたか。笑いあり、涙ありの作品に仕上げられたと思ってます。やっぱり純愛こそ至高。それではまた次回。

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