第17話

「それにしても、市山がゲームに興味あったとは意外だな。」


「俺も別にゲームぐらいはやるぞ。」


市山とたまたま会った俺はそのまま市山と話していた。市山は意外とゲームを結構やっているほうで、ゲーム自体に詳しくはないが、ゲームをすることは好きなのだそうだ。だから、俺も市山とゲームの話題で盛り上がった。


「でも倉井もいろいろなゲーム持ってるんだな。」


「まあ、毎日ゲームしかやってないからな。」


俺は暇な時、いつもゲームをしているので、ゲームを大量に持っているのは当然だ。


「なあ、お前今日暇?」


市山がそう聞いてきた。なんだろう?


「うん。今日は暇だけど。」


「じゃあさ……お前の家遊びに行ってもいいか?」






◇◆◇


「おおー。本当に霧宮さんの家と近いんだな。」


俺についてきた市山が家に着いた途端にそんなことを言った。まあ、家が近いから昔から関わっているからな。


そして市山は俺の家に入り、俺と共に部屋へと向かった。


市山は俺の部屋に入るやいなや、部屋の全体を見渡していた。隅から隅までゲームや漫画だらけの部屋を見て引かないのだろうか。


「すげえな、倉井の部屋。こんなにいっぱい漫画やゲームあって。ああ、俺これ読んでみたかったんだけど、読んでみてもいいか?」


市山は興奮しながら俺に聞いてきた。とりあえず、市山が人の趣味を認めてくれるやつで安心した俺は


「別にいいぞ。」


と許可するのであった。


しばらくした後、俺達はゲームを一緒にやることにした。


市山はやったことがないゲームだったので、遊び方を教えた後に対戦をした。もちろん俺は長くやっているゲームなので、俺が勝ってしまう。つまらなくないかと心配しながら市山を見ると、市山はじっと画面を見ていた。しかし、何か別のことを考えているようであった。


「そういえば、今日は霧宮さんといないんだな。」


「まあいつも一緒にいる訳じゃないからね。」


市山は急に真由のことを言い出した。やはり側から見ると、俺は真由といつも一緒にいる変なやつとでも思われているのだろうか。


「なあ、お前は怖くないのか?」


「何が?」


「霧宮さんと一緒にいることが。」


…市山の言いたいことは分かる。俺が真由のそばにいたら、この前みたいに疑いの目で見られることになるだろう。


「怖いよ。でも、向き合わないといけないから、真由はいつも俺のことを助けてくれるから、俺だって真由を助けられるようにしたいんだ。」


そう言ったら市山は黙ってしまったしばらくした後、ゲームで俺のキャラが市山のキャラをノックダウンした。


「お前は強いな。でも、俺も負けるつもりはないからな。」


と、市山が言ってきた。負けるつもりはない?ゲームの話だろうか。そんなに負けたのが悔しかったのか。でも、俺も八百長とか苦手だし、手加減はできない。


「俺も手をぬくつもりは無いよ。」


「へえ…」


市山は俺の発言を聞いてニヤリと笑っていた。


その後、俺達は夜までゲームで遊び、市山が帰る時間になった。


「じゃあな、陸。」


「え?」


市山が唐突に名前呼びしてきたので俺は動揺した。


「別にお前も大地で良いよ。正々堂々、ライバルだからな。」


ライバル?市山はやはりゲームの勝敗を気にするタイプなのだろうか。だとしたら、これからも遊ぼうと言ってくれているのだろうか。


「ああ!じゃあな大地。」


俺は大地にそう言うと、大地はゆっくりと帰りだしたのであった。


「俺、高校最初の友達がやっとできたかもしれない…」


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