第15話

市山達から離れた後、ショッピングモールで俺達はある程度歩き回り、少し疲れたので椅子に座っていた。


「真由はなんか買いたい物でもあるのか?」


俺は隣に座っていた真由に聞いた。真由は少し迷う素振りをして言った。


「ああ…実はあと少しでお父さんが帰ってくるんだよね。お父さんの誕生日の日に。」


「へえ、そうなのか。真由のお父さんか…俺も2、3回ぐらいしか会ってたことないな。」


真由のお父さんはいつも仕事で基本的に家にはいない。月一で帰ってくることもあれば、半年に一回のこともある。だから、真由と長くいる俺も真由のお父さんと会った回数は本当に少ない。


「だから、プレゼントでも買ったほうがいいのかなーって。でも、何買えばいいのかも分からなくてさ。」


「確かにな…誕生日プレゼントか。」


俺はあまり親に誕生日プレゼントを買ったことがないので、俺も何を渡せばいいのかは分からない。俺も迷っていると、真由がため息をつきながら言った。


「ネットで調べてみたりもしたけど、大体がお酒かグラスだったしさー。お酒は買えないし、グラスは家にいないんだから必要ないし。」


「…じゃあ、日用品とかか?」


「例えば?」


「うーん。ボールペンとかでいいんじゃないか?」


「ボールペンかー。」


真由は少し迷う素振りを見せたが、すぐに立ち上がって言った。


「よし!じゃあそうと決まれば買いに行こうか!着いてきてくれる?」


真由は俺に尋ねてきた。俺がこういう時になんて言うか知ってるくせに、言わせたいのだろう。


「もちろんだよ。」


俺がそう言うと真由は嬉しそうに微笑んでいた。






◇◆◇


「それで、どんなのを買うんだ?」


俺達は早速文房具店に入り、真由と一緒に真由のお父さんに送るボールペンを見始めた。ボールペンといっても値段、性能含めて様々な種類があり、真由はしばらく迷っていたが、結局少し高めの性能の良いボールペンを買うことにした。


「結構高いけど、それで大丈夫なのか?」


真由は俺が聞くとうなづいた。


「うん。大丈夫だよ。お父さんには少しでも良い物を買ってあげたいから。まあ、お父さんから見たらそこまで高い物でも無いと思うけどね。」


真由は心配そうな顔をして言った。真由も本当にこれで良いのかと不安なのだろう。不安を払拭するために俺は真由の判断を肯定した。


「いや、真由があげたら喜ぶと思うよ。」


もちろん理由はある。真由のお父さんと会った時、真由のお父さんは真由のことを大切に思っていた。俺に真由のことをよろしく頼むと言っていた時もあった。そんな人が真由からのプレゼントを喜ばないはずがない。


「そうかな…まあ、迷ってても仕方ないよね。じゃあ買ってくるね。」


そう言って真由はレジにボールペンを持っていった。買った後、俺達はそろそろ時間だということで帰ることにした。


「じゃあ私、三日後にお父さんが帰ってくるから遊べないから。四日後は一緒に遊ぼうね!」


真由が帰っている途中に言った。でも俺は毎日真由と遊ぶわけでは無いから別に大丈夫なのだが、、、


「分かったよ。真由のお父さんにちゃんとサプライズしてやれよ。」


「うん!もちろんだよ!」


そう言うと真由は俺の目の前に止まって俺のほうに振り向いた。どうしたのだろうと思っていると、


「今日はありがとうね、陸。」


真由が急に真剣な表情をするものだから、俺は思わずたじろいでしまう。だが、俺も真由には感謝している。俺も何か言わなくては、


「俺も…今日は楽しかったよ、真由。」


「え?そ、そう?」


「え?うん。」


俺達は言い終わった後に恥ずかしくなって互いに目を逸らしてそれぞれ家へと向かったのであった。







—————————————————————


あれ?ちゃんとしたラブコメだ、、、(驚き)

毎度の如く⭐︎をくれた聖人の方がいらっしゃったので感謝します。

@katohide1さん。

ありがとうございました!


そしてフォローしてくださった皆様もありがとうございました!





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