第13話
「君、陸君って言うんだ!私は真由!よろしくね!」
小さい少女は俺に向かって手を差し出した。彼女はいつも元気で眩しくて可愛らしい笑みを俺に向けてくる太陽のような子だった。
その時はまだ、その太陽に届くと思っていた。
俺と彼女は家が近かったこともあって友達になった。彼女は俺の初めての友達ということもあり、よく遊んでいた。外で遊んだり、家の中でゲームをしたり、様々だった。
そして、彼女はなんでもできた。スポーツに勉強、人間関係。全てに置いて俺とは次元の違う子だった。
俺が何回も努力をしてやっとできることになったことを彼女は一回で終わらせたことなんて何度もあった。俺が一生懸命勉強をして入った学校を彼女は俺が行くから行くと余裕で入学して俺についてきた。
俺がゆっくりと進んでいった道を彼女は走って追い抜かしていった。でも、不思議と妬みや恨みの感情は無い。あるとすれば彼女に対する憧れだった。
俺の届かない所にいる憧れの人。昔からそう思っていた。俺はこの人とは釣り合わない。太陽のような彼女と一緒にいれる人は同じ太陽のように輝いた人だけだ。
中学生のとき、俺はそれを思い知った。中学生の時、当たり前のように彼女はモテていた。何人もの人に告白され、彼女はその全てを断った。そしていつも俺の隣にいた。そんな俺には友達はあまりできなかった。
だが、ある日、熱心に俺に話しかけてくれた男のクラスメイトがいた。そいつは俺と友達になり、何回も一緒に遊んだり、真由を交えて遊ぶことも多々あった。しかし、ある日を境にそいつは俺に話しかけてくるのをやめた。真由に何故だろうと相談したところ、真由は、
「ああ、あいつね。なんか昨日私を呼び出して告白されちゃってさ、、、断ったんだけど、それから確かに来ないねー。」
その言葉を聞いて、俺が利用されたと気づくのは遅くなかった。
俺は所詮、真由という優秀な友達がいるだけの寄生虫だったのだ。
「陸、今日も一緒に帰ろうね!」
彼女は優しく微笑んで俺に言った。その顔は純粋で彼女の綺麗な心がそのまま反映されるかのようだった。
「……ああ、そうだな。」
俺は真由と離れるべきなのか、分からない。でも、考えたくもないということは明らかだった。
◇◆◇
「陸ー!もう朝だよ!起きろーー!」
朝日が登り始めた頃、真由が俺の布団を叩きながら言った。
「ああ、もう朝か、、、」
俺は上半身だけ起き上がり、声がした方向を見た。真由が俺の顔を覗き込むように見ている。
「おはよう、真由。」
俺がそう言うと真由はじっとこちらを見たまま、
「うん!おはよう、陸。」
俺に向かって微笑みながら言った。その顔は太陽のように眩しい笑顔だった。
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新しく⭐︎をくれた心優しい方々、
まさぽんたさん。 @MatsuKojiさん。
@mshdさん。 @omron3さん。
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