第12話
陸がお風呂に入っている頃、私は雪さんと一緒に話していた。
「えっと…それで雪さん、話とは?」
「そんな緊張しなくても大丈夫よ。私はそこまで重要な話をするわけではないもの。」
私は思わず身構えていたが、その言葉によってほっと息をついて体中の力を抜いた。
「じゃあ、何の話で?」
「…ねえ真由ちゃん?まだ陸と付き合ってないの?」
雪さんがいきなりそんなことを言ってきたので、私は飲んでいたお茶が変なとこに入って思わず咽せてしまった。
「い、いきなりなんですか!」
「その反応は付き合ってないのね、、、まあ、原因は陸にあると思うけれど。」
雪さんは察しがいい。何故その察しの良さが陸に遺伝しないのかが不思議なぐらいだ。
「その通りですね。私がいくら攻めても、陸は気づく気配すらしないです。おかしいんじゃないんですか?」
私が少し怒ったように言うと、雪さんは苦笑いをして、
「ごめんね。あの子は自分に自信を全く持てないから、自分自身も含めて、人の気持ちを知らないの。自分に嘘をついて、他人をあまり見ない。卑屈な子だからね。」
と言った。確かに陸は結構卑屈だと思う。だけど、
「でも、陸はそれと同じくらい優しいんですよ。」
私が雪さんの目を見て微笑みながら言ったら、雪さんは笑いだした。
「ふふふ。本当に真由ちゃんは陸のことが大好きなのね。陸は幸せ者ね。」
「…そ、そうですね。」
私は思わず照れてしまって全身暑くなってしまった。多分顔も火照てしまっていると思う。
そのタイミングで陸が風呂から出てきた。
私は陸と入れ違うように、風呂へと急いだのであった。
◇◆◇
そして寝る時間になり、私は陸の部屋で寝ることにした。
陸には突然で申し訳ないが、こうでもしないと陸は気づかないだろう。
「少し、一緒に居たくて…」
私はとても恥ずかしくなっていたが、陸に気づいてもらえるのだろうか。いつも陸は私の気持ちに気づかないで何年も恋人ではなく、友達として一緒にいる。だから攻めるときはとことん攻める。
「そういうのあんま他の人に言わないほうがいいぞ。勘違いされるから。」
陸は少し暗い声で言った。相変わらず卑屈だなぁ。
…こんなこと陸以外に言うわけないのに。
陸はその後すぐに寝てしまったようだ。可愛い幼馴染が隣で寝ているのに、コイツは本当に男なのだろうか。
いや、でも小さい頃から一緒に居たから恋愛対象では無いのだろうか。もしかしたら、いつも私の片想いだったのだろうか。
私は陸を覗き込む。陸は気持ち良さそうに寝ていた。寝顔は昔と変わらなかった。
「陸は少しも変わらないね。ねえ、陸。君は私のことが好きなの?」
私は陸の頬をそっと撫でた。陸はちっとも起きる気配がしない。もし陸が私を恋愛対象として見ていなかったら、私の想いは意味があるのだろうか。
「あーもうだめだ!私まで卑屈になりそうになる!この男め。私をおかしくさせようとしやがって!」
そうだ、私はそんな考えることはない。私はただ陸に自分の気持ちをちゃんと気づいてもらうか、陸に私を好きにさせることをすればいい!
私は陸とのゲームで一回も勝てることは無かった。だが、
「この勝負は絶対に勝たせてもらうから!」
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真由、強い女の子だ…
あ、また⭐︎を付けてくださった聖人の方々がいました。
乱視度強さん。 @h2004さん。
ありがとうございました!
そしてフォローしてくれた方々もありがとうございました!
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